生徒1人ひとりの学習目標として「数検」を活用
基礎学力を定着させて成功体験を積み重ねる

  • 中高一貫教育校
  • 専修大学松戸中学校・高等学校(千葉県) 
    お話:林 史教諭

学習目標として最適な「数検」は、生徒にとって最高の成功体験

学習目標として最適な「数検」は、生徒にとって最高の成功体験本校は、専修大学の付属校として、高等学校を1959年、中学校を2000年にそれぞれ開校しました。数学検定(数検)は、中学校設立当初から受検しはじめ、2022年度で23年めを迎えます。

数検を導入したねらいは、数学の基礎力の定着を図ること、そしてスモールステップで段階ごとに難しくなっていくので学習目標として最適だからです。生徒は合格証をもらえることがうれしくて、次もがんばろうという成功体験にもなります。

本校の数学は、中学校2年で中学校の教育課程を終える先取り学習をしているので、各学年の課程が修了する時期に合わせて、数検の検定日を年3回設けています(2年間で中学の内容を履修するので、学期の途中で中学校1年、2年の学習内容が修了します)。年3回に設定することで、もし不合格になってもまだチャンスがあるので、再受検に向けて生徒の意欲も高まります。生徒は結果が出てから、見直しや確認・問題の解き直しを行うので、年に3回がちょうどいい回数になっています。目標は中学校3年までに、生徒全員が準2級に合格することです。全員が受検することで、生徒の単元ごとの理解度を測ることができます。

目標を高く設定することが合格率の向上につながる

目標を高く設定することが合格率の向上につながる数検受検に向けた学習として、放課後講座の時間や過去問題をのせたプリントを配付したりしています。目標の級よりも上の級に挑戦する生徒には、個別指導を行うことや問題集を紹介して自ら学習するように勧めています。自ら進んで学習することによって、理解しようと努力するので、何がわかっていないのかを生徒自ら発見することにつながっています。また、過去問題集などを使って学習する際は、同じ問題を何度も解くことを伝えています。一度取り組んだだけでは問題の定着までには達することができないと考え、何度も解くことによって、公式の確認や問題の流れなどを気づかせるようにしています。

これまで継続して検定に取り組んできたことで、2019年の「数検」グランプリ表彰では、「文部科学大臣賞」を受賞しました。本校のパンフレットにも受賞について掲載していますので、本校がどれだけ数学や検定に力を入れているかを、在校生だけでなく、中学受験を考えている保護者の方にも理解してもらうことができたと思います。また毎年、各学年相当の階級における満点合格者や上位階級の最高得点者などを、全校集会で独自に表彰しています。生徒は数検を取得することが目標になっていますが、より高い得点で合格しようと努力する生徒も多くなり、結果として中学校全体の合格率の向上にもつながっていると思います。

先取り学習で大学受験でも通用する数学力を養う

先取り学習で大学受験でも通用する数学力を養う本校では中学校1年から高校校3年までを2年間ごとに「基礎期」「充実期」「発展期」として分け、中学校1年・2年にあたる「基礎期」では、週に「代数」を3時間、「幾何」を2時間と分野別に授業を行っています。課題提出、小テストによる到達度チェックを毎週行い、数学の基礎力の定着を図っています。また、中学校2年の「代数」の授業から習熟度別授業を少人数で行い、個々に目を向けられるように授業を行っています。そのほかにも、長期休暇を利用して「直線の式を使って絵を描く」や「数学者についてレポートを作成する」などの課題を出しています。ふだん習っている数学について、違った方向から見ることや授業では習わない新たな発見をとおして、数学の楽しさを知ってもらう機会になっています。中学校3年からの「充実期」では、高校の学習内容に入り、高校2年生からは、文系理系に分かれて授業を行っています。これにより、文系では大学入試へ向けた問題演習、理系では数学Ⅲ・数学Cの学習に入ることができています。先取りをすることによって、演習時間の確保や大学受験に通用する力を養う時間の確保が可能になっています。

今後も、数検などの検定を活用することで、生徒1人ひとりが学習目標を設定し、学力の定着とさらなる向上をめざしたいと思います。そして、本校が掲げる「自主的・創造的に力強く活躍し、社会に貢献できる人材を育てる」べく邁進していきます。