学年末の全校受検で算数の基礎・基本を身につける

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  • つくば国際大学東風小学校(茨城県) 
    お話:澤戸 光代教頭

数検で算数の学習定着度を確認する

数検で算数の学習定着度を確認する本校は、2009年に開校して2022年で13年めを迎える、少人数で手厚い指導が特長の私立小学校です。1年生のときから授業は毎日6時間で、土曜日も4時間授業があり、週に34時間を数えます。1年生では、公立の小学校にくらべて9時間も授業時間数が多いです。小学校低学年では、基礎・基本をしっかりと身につけることが大切だと考えていますので、1年生の算数の授業時間は週6時間(公立小学校は4時間)で、教員2人体制で指導にあたっています。
数検(算数検定)は、当該学年の算数の学習定着度(基礎・基本が身についているか)を確認するために、2013年に初めて実施しました。現在は、全校児童を対象に実施しており、検定料はすべて本校が負担しています。
本校の児童には、数検を受検することで、算数をより好きに、より得意になるきっかけにしてほしいと考えています。

児童全員で「数検合格」をめざす

児童全員で「数検合格」をめざす児童にとって数検を受検することは、自信がついて算数が好きになったり、自分の苦手なところを知り学び直したりと、それぞれの学力向上のよい機会となっているようです。また教員にとっても、児童の習熟度を知ることにより、自らの授業を振り返り、その後の授業で効率的に補充学習を進めることができます。
今では、学年末に数検や漢検を受けることは児童にとって当たり前となっていて、自分だけでなく、「クラスみんなで合格をめざそう」と目標をもってがんばっています。保護者も、単元ごとのテストだけでなく、数検を受検することで児童の算数への取り組みを客観的な評価として知ることができるので、とても協力的です。
数検受検に向けた学習としては、毎年本校が費用を負担して全校児童分の過去問題集を購入し、10分間の朝学習や算数の授業中に取り組んでいます。数検合格という明確な目標があるので、子どもたちも間違った問題や苦手な問題に何度も粘り強く取り組むことができています。また、指導にあたっては、正答率を上げていくことも大切ですが、苦手な分野や問題について、ていねいに解説して理解を深めるように努めています。

中学校入試の演習問題としても数検を活用

中学校入試の演習問題としても数検を活用本校は、系列の中学校がありませんので、全校児童それぞれが自分に合った中学校を選び、受験をして、進学していきます。6年生の11月には教科書の内容をすべて学び終え、中学受験の学習に入ります。そのため、3年生からは、豊富な授業時間を活用して、主要4教科(国語、算数、理科、社会)において教科担任制で先取り教育を行っています。中学校受験に対応するため、「私学問題集・私学プリント」を全学年で採用し、より発展的な問題を楽しみながら解く力も育てています。また、保護者や児童のニーズに合った中学受験に対応できるよう、キャリア教育・進路指導などにも力を入れています。
児童が中学受験に臨むうえで、事前に数検を受検することによって自分の弱点があきらかになり、苦手分野をくりかえし学習して克服していくことが基礎学力のアップにもつながっていると思います。また、数検の問題は、基礎から応用まで幅広く出題されているので、中学校入試の演習問題としても活用しています。

今後も、東風教育3つの柱「1:人間力、2:言語力、3:伝統文化・国際理解」を大切にし、本校が教育方針として掲げている、「確かな学力の向上をめざし、思いやりの心を持ち、自ら学び、知性と感性に富む子どもの育成」をめざしていきたいと思います。そのためにも、児童の基礎学力の定着や、教員の指導法について客観的評価となる検定の取り組みを継続していきます。