検定の合格で得られる自信と、
深まる算数への興味関心
日ごろから「論理的思考」を学ぶことがなによりも大事
本校は、2005年に初めて算数検定を実施して以来15年、年に1度検定を実施しています。算数検定の導入を決めたのは当時の校長でした。児童が合格する喜びを味わったり、たとえ合格できなくても努力することの大切さを体験したりできるということが理由で、英語検定や漢字検定、歴史検定と一緒に導入しました。検定や試験などへの緊張感をなくすことも理由の1つで、それらの受検に対するハードルを低学年のうちに下げておく目的もありました。
本校における算数検定の合格率は、全国の受検者全体の合格率とくらべて高い傾向にあるようですが、算数検定を受検するために特別なことは行っていません。検定は特別なもの、構えて緊張するものではなく、身近な学習の1つとなっているからです。
日ごろから大事にしているのは、初めて学ぶ単元では、常に既習事項を生かすとどのように解答できるのか、よりかんたんで分かりやすい解答はないのか、効率的な解法はどれかを考えさせること、またなぜこの解答になるのかと考えさせることです。論理的思考を学ぶことを算数教育での大事な目標としています。
算数検定を長年実施してきて感じているのは、算数が得意でない児童も、算数検定に合格することで少なからず自信をつけることができ、算数への興味関心が少しずつ深まり、自分の力で問題を解きたいという気持ちが増していることです。
情報活用能力を育むために、1人に1台ずつタブレットを配付
本校では、情報活用能力を育めるように、児童1人に1台ずつiPad※1を所持させています。1年生から段階的に導入し、iPadを活用したカリキュラムを用意しています。たとえば、Microsoft Word®やMicrosoft Excel®※2などを活用して、新聞を作ったり、グラフを作ったり、グラフの情報から傾向を読み取ったりするなどの活動を行っています。高学年では、問題を発見し解決するための情報収集力・情報分析力を身につけ、情報化社会で活躍できる資質を育めるようなカリキュラムを実施しています。
情報収集力や情報分析力は、収集した情報の背景にどんなことが考えられるのかを読み解くことが求められ、情報を論理的にとらえる力、つまり論理的思考力が必要です。解答を導くために筋道を立てて考える数学を学ぶことで論理的思考力を身につけることができます。その基礎となるのは小学校の算数です。「論理的思考を学ぶことを、算数教育での大事な目標としている」とお話しましたが、算数の学びは、このように社会を生き抜くための大事な力の基礎になっていると思います。
また、この1、2年で、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の一環として、ICTの活用が進みました。そのおかげで、映像での学びを増やすことができたり、児童同士や教師と児童、教師同士との相互間通信が容易にできたりするようになりました。学びの広がりもありましたし、時間の短縮にもなりました。これからも手作り感のある教育とともにICT教育の充実も図っていきたいと思います。
次へのステップ、励みとなる算数検定
本校は、インクルーシブリーダーシップの精神を柱に、主体的に課題を共有し、協働しながら課題解決に向かう集団としての力を育んでいます。また、めざす児童像である「よいこのめあて」「いつも明るく元気な子/よく考え工夫する子/心豊かな優しい子/進んで働き責任を持つ子/物を大切にする子」を毎朝復唱し確認しています。前向きさ、賢さ、優しさ、ひたむきさ、ていねいさは生活だけではなく、学習を進めていくうえでも大事な目標で、日々の学びを習得・活用・探求するため、いくつかの検定に取り組んでいます。なかでも自分のがんばりの評価としてコメントをもらえる算数検定は、次へのステップ、モチベーションとなっているようです。
2020年には、学校全体の取り組みが評価され、「数検」グランプリ金賞を受賞したことも励みとなっていますので、今後も算数検定を続けて実施したいと考えています。
※1 iPadは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※2 MicrosoftおよびWord、Excelは、米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標または商標です。