「なぜ?」「本当?」「どうなる?」からはじまる算数・数学の自由研究 初等幾何学に関する研究作品を応募した中学校3年生が
「MATHコン2021」日本数学検定協会賞を受賞

2021.12.23
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算数・数学の実用的な技能を測る、実用数学技能検定「数検」(数学検定・算数検定、以下「数検」)」を実施・運営している公益財団法人日本数学検定協会(所在地:東京都台東区、理事長:清水静海、以下「当協会」)は、一般財団法人理数教育研究所が主催している「塩野直道記念 第9回『算数・数学の自由研究』作品コンクール」(通称「MATH(マス)コン」)の優秀賞の1つである「日本数学検定協会賞」を決定し、2021年12月19日(日)に東京都内で行われた表彰式で受賞者を表彰いたしました。

「日本数学検定協会賞」オンライン表彰式の様子<br />
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「日本数学検定協会賞」オンライン表彰式の様子

受賞したのは、「シムソン線,9点円の一般化とオイラー・ポンスレ点」という初等幾何学に関する研究作品を応募した千葉県在住の中学校3年生です。

塩野直道記念「算数・数学の自由研究」作品コンクール公式ホームページ

「なぜ?」「本当?」「どうなる?」からはじまる算数・数学の自由研究

今年2021年で第9回の開催となる塩野直道記念「算数・数学の自由研究」作品コンクールは、全国の小学生・中学生・高校生を対象に、日常生活や社会で感じたさまざまな疑問を算数・数学の力を活用して解決する、あるいは、算数・数学の学びを発展させて新たな数理的課題を探究するなかで気づいたことやわかったこと、自らの解決の方法などをレポートにまとめ、作品として応募するコンクールです。テーマは自由で、毎年さまざまなテーマの自由研究作品が集まります。なお、今年2021年の応募作品数は、合計17,429件でした(2020年は11,397件)。

シムソン線と9点円の一般化に関する研究作品を応募した中学校3年生が受賞

本コンクールに2016年から協賛している当協会は、すべての応募作品のなかから、とくに算数・数学の研究として優れたレポート1作品に優秀賞として「日本数学検定協会賞」を授与しています。今年2021年の「日本数学検定協会賞」は、シムソン線と9点円をオイラー・ポンスレ点を用いて一般化(さまざまな事物に共通する性質を抽象し、1つの概念にまとめること)する研究について、初等幾何学(平面図形および空間図形の性質に関する分野)の範囲でまとめた、千葉県在住の齋藤輝(さいとう あきら/応募当時14歳、中学校3年生)さんが受賞いたしました。
齋藤さんは、中学校1年生のときに、自力で問題を解決できたときの爽快感とその美しさに魅了され、数学に強く興味をもちました。なかでも初等幾何学の研究にはもっとも力をいれているそうです。今回の作品は、齋藤さんが昨年の同コンクールで特別賞を受賞した作品「Simsonの定理の拡張 ~4本のSimson線と大量の垂線が織りなす様々な性質~」と同様に、動的な数学ソフトウェア「GeoGebra(ジオジェブラ)」を用いて研究を進めました。

※シムソンの定理
三角形ABCと点Dがあり、Dから直線BC,CA,ABに下ろした垂線の足をそれぞれP,Q,Rとおく。A,B,C,Dが同一円周上にあるならばP,Q,Rは同一直線上にある。P,Q,Rを通る直線をDから三角形ABCに引いたシムソン線という。

「日本数学検定協会賞」受賞者の齋藤輝さんの発表の様子
「日本数学検定協会賞」受賞者の齋藤輝さんの発表の様子

また、齋藤さんは今回の研究をとおして、以下のように研究に関するものの見方について大きな変化を感じたそうです。

 (1)性質の発見がよりスムーズに行えるようになってきた。
 (2)一般化や拡張などの考え方が身についてきた。
 (3)数学の論文の書き方を習得した。

そのうえで、今回の研究成果を生かして、競技数学や現代数学など、その他の数学の学習にも力をいれていきたいと記し、今回の研究をしめくくっています。

算数・数学の実用的な技能を測る「数検」を実施している当協会は、動的な数学ソフトウェア「GeoGebra」を用いた現代ならではの研究スタイルで、3年間にわたって同じテーマの研究を継続している姿勢と、その作品の完成度を評価して、このたびの「日本数学検定協会賞」の受賞を決定しました。

なお、齋藤さんの受賞コメントと応募作品への審査委員の講評は以下のとおりです。

<齋藤輝(さいとう あきら)さんの受賞コメント>
僕の1年間以上にわたる研究成果について、こうした賞をいただくことができてたいへん光栄に思います。まずは、僕に研究の機会をくださった「MATHコン」の運営のみなさまや研究に助言をくださった方々に感謝申しあげます。本研究は、大学受験等ではあまり重視されることのない初等幾何に関するものでしたが、僕は初等幾何特有の美しさに魅力を感じていて、まだまだ研究の余地はあると思っています。研究では苦労した点も多々ありましたが、未知のものを探求していく過程はとても楽しく、良い経験になったと感じています。今回の受賞をきっかけにさらに飛躍し、これからも数学の勉強に熱心に取り組むとともに、将来は数学界だけでなく社会に良い影響をもたらすような研究をしていきたいと考えています。

齋藤 輝(さいとう あきら)さん
齋藤 輝(さいとう あきら)さん

<審査委員の講評>
初等幾何であるシムソンの定理の拡張を行った研究です。動的な数学ソフトウェア「GeoGebra」を用いた考察が、現代ならではといえます。考察の様子からも「GeoGebra」を使いこなしていることが伺えます。数式組版システムである「LaTeX(ラテフ)」を用いたレポート作成および数学論文の書き方を踏襲した内容構成から、数学にかける並々ならぬ思いが読み取れます。一昨年から続けて行った研究の完成度が評価できます。

当協会は、MATHコンのような理数教育の充実に向けた普及推進イベントなどに積極的に関わることで、今後も広く国民のみなさまに算数・数学を学習する大切さや、楽しさを伝える普及啓発事業を充実させてまいります。

開催概要

名  称:塩野直道記念 第9回「算数・数学の自由研究」作品コンクール(2021年度)
主  催:一般財団法人 理数教育研究所
協  賛:株式会社 内田洋行/株式会社 学研ホールディングス/公益財団法人 日本数学検定協会
応募資格:小学生、中学生、高校生
※海外の日本人学校も含む。
※グループで応募する場合は、同じ学校の同学年の応募に限る。

審  査:
1.小学校の部 … 低学年の部(1~3年)、高学年の部(4~6年)に分けて審査。
2.中学校の部
3.高等学校の部(高等専門学校3年次までを含む)
公式ホームページ:
https://www.rimse.or.jp/research/
※くわしくは、公式ホームページをご覧ください。

【添付資料】MATHコン2021「日本数学検定協会賞」の作品

お問い合わせ先

【本コンクールに関するお問い合わせ先】
一般財団法人 理数教育研究所
「算数・数学の自由研究」係
TEL:06-6775-6538
E-mail:mathcon@rimse.or.jp
URL: https://www.rimse.or.jp/research/

【本リリースに関するお問い合わせ先】
公益財団法人 日本数学検定協会
広報担当
TEL:03-5812-8342
E-mail:kouhou@su-gaku.net
URL:https://www.su-gaku.net/