過去の問題と優秀解答

平成三十一年(2019年)

平成三十一年 問題 一

東大寺では、毎年八月七日、僧侶などの奉仕者が集まり、大仏さまのお身体をきれいにする「お身拭い(おみぬぐい)」が実施されます。ほこりを落とすためにロープにぶら下がったり、集まったほこりはバケツ数杯分になったりと、まさに大掃除といえます。
お身拭いを2時間で行うためには、何人の奉仕者が必要と考えられますか。

最優秀解答賞

小松 さくらさん(立命館慶祥中学校1年生、12歳、北海道)

※年齢は応募当時のものです。

講評

大仏さまの表面積を求める際に、身長と体重から体表面積を求める公式を用いている点がとてもユニークです。さらに、ガラス拭きの職人のデータを使ったり、腕の動きを理想化したりするなど、いくつかの方法を検討したうえで奉仕者の人数を算出しており、その発想の幅広さを高く評価しました。

優秀解答賞1

伊藤 奈緒さん(静岡県西遠女子学園高等学校3年星組有志、17歳、静岡県)

※年齢は応募当時のものです。

講評

大仏さまについて、いろいろな部位の寸法を細かく調べ、かつ形状をわかりやすく単純化しており、表面積を求める過程に誠実さが感じられます。さらに、ゴンドラを支えること、遠くから指示をすることといった役割を考慮して奉仕者の人数を割り出しており、その現実性の高さを評価しました。

優秀解答賞2

水内 結菜さん(立命館慶祥中学校3年生、15歳、北海道)

※年齢は応募当時のものです。

講評

大仏さまの表面積を求めるためのモデルは、円柱の組合せというシンプルなものですが、むしろそれが仕事量の重み付けという考察に生きています。拭う面が、地面に対して平行か垂直か、どれだけの高さにあるか、といった観点で作業の速さを区別しており、その論理性の高さを評価しました。

平成三十年 問題 二

東大寺では、毎年「盂蘭盆(うらぼん)」の最終日である八月十五日、大仏さまに灯火をお供えする「万灯供養会(まんとうくようえ)」が実施されます。万灯供養会では、4つの明かりを灯した灯籠が、大仏殿のまわりに2500基ほど並べられます。観相窓から大仏さまのお顔が見え、参道や前庭が灯明に包まれるようすはとても幻想的で、毎年多くの参拝者が訪れます。
灯籠や大仏さまの見え方、準備や片付けの仕方、安全な実施などを考慮し、現実的で審美的な灯籠の配置を考えましょう。

最優秀解答賞

髙橋 薫さん(静岡県西遠女子学園高等学校3年星組有志、17歳、静岡県)

※年齢は応募当時のものです。

講評

灯籠の並べやすさ、参拝者の動きやすさ、全体像のわかりやすさなど、現実的な配置になるよう数学的な配慮ができています。さらに、参拝者の視線を大仏さまに誘導するような配置を考えるとともに、配置の意図を明確に述べており、そのデザインとしての完成度を高く評価しました。

優秀解答賞1

槙 愛さん(立命館慶祥中学校3年生、15歳、北海道)

※年齢は応募当時のものです。

講評

参道と回廊への配置はシンプルなものですが、対照的に前庭に施された曲線を用いる配置が目を引きます。お盆の時期に御先祖の供養を行うという万灯供養会の趣旨を理解したうえで、精霊馬をモチーフとした配置を数学的に表現しており、その創造性の高さを評価しました。

優秀解答賞2

佐々木 くるみさん(立命館慶祥中学校3年生、15歳、北海道)

※年齢は応募当時のものです。

講評

参道、回廊、階段、前庭など、どこにどう配置するか、図や式を用いて明瞭に説明できています。また、計算がしやすいような配置にしている点も、準備のしやすさに貢献しています。前庭への並べ方は幾何学的な模様として美しいものになっており、その表現力の高さを評価しました。

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