残念なビジネスパーソンを脱却、数字を使って会話をしよう!

ビジネスの現場で数字を活用することは、効率的な意思決定や円滑な業務遂行に欠かせません。この記事では、「数字に強くなるためのビジネス数学」というテーマで、残念なビジネスパーソンを脱却するためのちょっとしたテクニックを紹介します。

「なるべく早く」ではなく具体的な期日を伝えよう

世のなかでは、数字を使ったビジネスの場面において、残念な報告があふれてます。そこで、残念な報告の代表例を1つ紹介しましょう。

「見積書の作成をなるべく早くお願いします」

いわゆる「なるはや」という指示ですが、これはいつのことを示しているのでしょうか。受け止める側によって、「今日中に」と考える人もいれば、「2、3日中ぐらいかな?」と考える人もいます。通常業務の感覚の違いによっては、1週間でも十分早いと感じる方もいます。

このように「なるべく早く」という表現は個人の主観に委ねてしまうので、自分は今日中のつもりで「なるべく早く」と言ったにもかかわらず、見積書が提出されたのが1週間後だった、ということが起こる可能性があるわけです。このような事例を防ぐためには、「なるべく早く」というフワッとした表現ではなくて、具体的に数字を使って伝える必要があります。

たとえば、「30日の15時までに見積書が欲しいです」と具体的な数字を使って連絡すると、受け止める相手も30日15時までに見積書を作らなければならにという、共通認識をとることができます。この場合は、締め切りの時間まで指定することが重要です。

数字を使うか使わないのかのほんの少しの違いではありますが、きちんと共通認識をとることで、ビジネスを円滑に進めることができます。

数字で表現できることは数字で伝えよう

それでは、つぎの報告の改善点について考えて見てください。

「店長、アルバイトが足りません。」

この報告を受けた店長さんは、つぎに何をすればいいのかという行動にすぐにつなげることができません。店長さんがすぐにつぎの行動につなげるためには、少なくとも「いつ足りないのか?」「何人足りないのか?」を知る必要があります。

店長にこの報告をしたスタッフは、アルバイトが足りないことがわかっているわけですから、当然「いつ足りないのか?」「何人足りないのか?」は、すでに把握しているはずです。

そこで、具体的に数字に直して、「店長、25日の12時から15時の間にアルバイトが4人足りません」と報告すれば、受け止めた店長さんも、どの時間帯に何人のアルバイトを手配しなければいけないという、つぎの行動にすぐにつなげることができます。

このように、数字を使って報告の内容の精度を上げることが、より円滑にビジネスを回すことにつながるのです。

ビジネス数学はちょっとした意識から身についていく

今回は、ビジネスでよくみられる依頼・報告の場面で、具体的な数字をつけ加えることで、より円滑にビジネスを進めることにつながることを紹介しました。この場面では、複雑な事象の整理や難しい計算はしていません。大切なのは「数字を使うという意識」だけなので、ぜひ今日から実践してみてください。

記事を書いた人

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近藤 恵介

公益財団法人 日本数学検定協会 ビジネス数学コンテンツ部マネジャー)

東京工業大学大学院生命理工学研究科修了後、予備校講師などを経て現職。数学と社会の関わりについて研究し、「ビジネス数学」という新しいジャンルを開拓。「ビジネス数学」に関する講座や検定試験などの企画・運営を手がける。