大学レベルの最難関階級
数学検定1級に小4の9歳が最年少合格タイ記録
2024年10月27日実施の個人受検調査結果
公益財団法人日本数学検定協会(所在地:東京都台東区、理事長:髙田忍)は、2024年10月27日(日)に実施した第431回「実用数学技能検定(数学検定・算数検定)」の個人受検の結果を取りまとめたところ、理数系大学卒業程度の内容である1級に宮城県在住の小学校4年生の児童(受検当時9歳)が合格し、これまでの最年少合格記録に並ぶ功績であることがわかりました。

合格率13.1%の最難関「数学検定1級」とは
数学検定1級は、数学検定のなかで最上位の階級で、2024年度の年間の合格者数は244人、合格率は13.1%という難関です。検定は、1次:計算技能検定(60分)と2次:数理技能検定(120分)で構成されています。出題数は1次が7問、2次が4問(うち必須2問、選択2問)と多くありませんが、出題範囲は大学程度・一般(理数系大学卒業程度)の内容で、多変数関数などの解析分野、行列や線形変換などを含む線形代数、相関係数や回帰分析を扱う確率統計、アルゴリズムの基礎など、他の階級に比べ学習範囲がとても広く、すべて記述式です。
これまでの最年少合格記録に並ぶ成績
これまでの数学検定1級の最年少合格記録は、2019年10月に合格した小学校4年生(9歳)でしたが、今回同学年の児童が合格したことで、最年少合格に並ぶ成績となりました。
この児童は、2021年9月に小学校1年生(6歳)で算数検定9級(小学校3年生程度)に合格後、同年12月には7級(小学校5年生程度)に、2023年6月には小学校3年生(8歳)で数学検定2級(高校2年生程度)に合格しました。その後も継続的に学習を続けてきた結果、2024年4月に1級1次に、10月の検定で2次に合格したことで、1級最年少合格タイ記録の快挙を成しとげました。
今回の合格通知を受けて、この児童から以下のとおりコメントが寄せられました。
「1級は急に難易度が高くなりましたが、合格できてとても嬉しいです。数について考えることが好きで、算数のもっと先を知りたくて検定を受け始めました。今は数学のオンラインゼミで先生や友達と過ごす時間を大切にしています。これからも数学を通じて交流を広げ、楽しみながら数の不思議を解き明かしていきたいです。」
全国で2歳から86歳までの志願者が検定に挑戦(2024年10月27日個人受検結果)
今回の個人受検全体の志願者数は16,443人で、受検者数は15,432人。志願者層をみると、10歳代の方が全体の約78.8%にあたる12,962人でもっとも多く、小学生・中学生・高校生を中心に多くの若い方々が志願していることがわかります。しかし、数は少ないながらも50歳代以上の志願者も一定数いることや、最年長の合格者をみると60歳代や70歳代が多いことをみると、幅広い年代で学び直しや生涯学習に検定が活用されていることがわかります。
当協会は、今後も国民のみなさまの算数・数学の学びがさらに深まり、また生涯にわたる算数・数学の学習活動の一助として活用していただけるような検定事業の運営に邁進してまいります。
【数学検定1級について】
構成
「1次:計算技能検定」「2次:数理技能検定」があり、すべて記述式で解答する。
検定内容
【解析】 微分法、積分法、基本的な微分方程式、多変数関数(偏微分・重積分)、基本的な複素解析
【線形代数】 線形方程式、行列、行列式、線形変換、線形空間、計量線形空間、曲線と曲面、線形計画法、二次形式、固有値、多項式、代数方程式、初等整数論
【確率統計】 確率、確率分布、回帰分析、相関係数
【コンピュータ】 数値解析、アルゴリズムの基礎
【その他】 自然科学への数学の応用 など
目安となる学年
大学程度・一般
検定時間と出題数
1次(計算技能検定)=60分・7問
2次(数理技能検定)=120分・2題必須と5題より2題選択
合格基準
1次は全問題の70%程度、2次は全問題の60%程度。
年間合格率(2024年度)
1級 年間合格率13.1%