学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- 数学検定・算数検定への期待
公益財団法人 日本数学検定協会 検定問題品質委員 島田 功(*)
1988 年に数学の検定制度が開発され、2018 年に 30 周年を迎えました。1992 年に実施し た第1回数学検定の受検者数は、およそ 5500 人でした。それが 2018 年には、受験者数が 376000 人になり、 多くの方に数学検定・算数検定が認知され支持されるようになりました。 私は第 1 回から算数検定の問題作成に関わり、スタート時は、水道橋の「神田パンセ」を 会場に 3 人の先生方で作成しておりました。 その当時、 「算数と音楽との関係」 の問題や 「算 数と体育との関係」の問題を作ったことを覚えております。このような他教科との関わり の問題は、文部科学省の全国学力・学習状況調査の活用問題の中の他教科における算数活 用問題を先取りした問題とも言えます。 また、数学検定・算数検定は、今では日本だけではなく、フィリピンやカンボジアやタ イでも実施されるようになり、国際的な広がりを見せるようになりました。このことは、 数学検定・算数検定の国際化が進んでいる証左です。実に隔世の感を覚えます。 更には、日本数学検定協会の設立の目的には「信頼性と有用性が高く、学習指針として 広く認められる数学に関する検定事業を実施し、得られた知見を社会に還元することを通 じて、世界中の人々の生涯に渡る数学への興味喚起と数学力の向上に貢献する」とあるよ うに数学検定・算数検定は生涯学習としての役割を持ち合わせております。受検者層は、 子どもから大人まで幅広い層から成り立ち、その目的も多様性を示しています。 こうした数学検定・算数検定の生涯学習としての役割を日本数学教育学会の全国大会や 春期大会で日本数学検定協会の松本氏や渡辺氏等により発表されております。その結果、 日本数学教育学会の会員も数学検定・算数検定の生涯学習としての役割に注目を集めるよ うになりました。そしてこれからも生涯学習としての数学検定・算数検定の役割の重要性 は益々高まりを見せることになると思います。 数学検定・算数検定の今後の更なる発展を期待しております。
(*)日本体育大学大学院教育学研究科教授・教育学博士
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