学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- An=λnI + n λn-1(MJM -1)
p q p M= とおくと,MJM -1= ps-qr r s 2 -1 例2 A= 1 0 -r p -p r
⑻
結局変換行列 M を求めることができれば,式⑻により An が計算できる。
2 2 固有方程式はλ 固有値は1 (重解) -2 λ+1 = (λ-1) =0で,
1 だが,固有ベクトル空間は1次元である。その一例は v = 。 1
1 1 1 (A-λI ) w =v である一般固有ベクトル w の一例は w = 。M=[v w ]= , 1 0 0 1 1 0 1 1 n -1 n M-1= であり, となる。B =I + nJ= により,B=M AM= 0 1 1 -1 0 1 n+1 -n An=MB nM -1= を得る。 1 -n n
⑼
ジョルダンの標準形に変換する行列 M は他にもあるが,An の結果は同一である。結果の 式⑼がわかれば,それが正しいことは,n に関する数学的帰納法で確かめられる。 5.むすび 以上の議論はある程度一般の正方行列に拡張できるが、特に2次の場合の簡便法に重点 を置いた。初めに述べた通り,こういった「安直な便法」が広まるのは必ずしも望ましいと は思われない。しかし出題者側は十分心得ていてほしい知識として紹介した次第である。
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