学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- 先生 x2-20=0を解きなさい。 生徒 x=・・・分母は2だけど、bがない。 先生 ないところはb=0です。 生徒 分子は-0±√(02-4×1×20) この計算ができない。 先生 02は0だから計算は簡単でしょ。 生徒 √(4×1×20)=√80 先生 それで 生徒 答え x=√80 これでは、 いつまでたっても答えは出てこない。 同じ生徒に問題を変えてといてもらった。 先生 この問題と解いてください x2-8x+1=0 生徒 こちらのほうが易しい x=-8±√(64-4)を2で割る。 先生 bの符号はどうするの 生徒 ・・・ おそらくこの後の計算変形ができない。ここで分かったことは先生は徹底的に2次方程 式の解の公式を覚えさせている。 そして公式を使えば、 どんな2次方程式でも解くことがで きると教えている。 今回見学をさせてもらった学校が特殊なのではなく、 公式を使えば2次 方程式は解けるということを徹底して学んでいる結果が、数学検定の正答率に現れている。 そして、もっとも基本的な考え方として x2=a のとき、x=±√a は忘れている。こ の式を見ると a の符号について問題にする生徒がいるのは先生が授業中に何を重要として 教えているかが推測できる。 ルートの中はプラスということを徹底しているので、 生徒は符 号がなくなってしまうらしい。 公式を覚えていても計算ができない。 ルートの計算も難しい ので解の公式を知っていても、途中にルートの計算、約分などがあり、最後まで2次方程式 を解くことは難しい。 3.公式に頼らない数学教育を (1)公式不要 電車の中吊り広告 「公式に頼らない図形脳」と いうある予備校の広告があった。 その広告の対象は 幼稚園児に出題する問題であった。 図の中に立方体 (四角い積み木)がいくつあるかを数える問題であ る。この問題に使える公式ないし、幼稚園児は、ひ とつずつ数える。見えない積み木を数えるという、 「公式に頼らない」という言葉に興味を持った。 この 問題では、 考え方(数学的戦略)を問うこととして次
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