学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- いた誤答が多くなるようである。270 回「ホースの重さが2kg のとき、長さは何mで すか。 」 、265 回「しょうゆの重さが 3kg のとき、このしょう油は何 L ですか。 」も同 様である。 258 回「油の重さが 3/4kg のとき、この油は何 L ですか。 」 (包含除) 除数、 被除数ともに分数である場合は、 除法を用いた誤答がもっとも多い (19.3%) が、乗法を用いた誤答も 11.5%と多く現れる。 また、調査対象の問題について、253 回の問題以外はすべて直前の小問が乗法の問題 である。それに影響されて乗法を用いた可能性も考えられる。 4 まとめ (1)整数の除法 全体的に正答率が高く、誤答は少ない。 9級(小学校第3学年程度)では、乗法及び減法を用いた誤答が見られる。乗法で書か れた答案の中には式は乗法で、 計算は除法を行い答えは正解というものがある。 減法を用 いる誤答は 11 月以降には減る傾向にある。上記は新出の演算に慣れていないことに起因 する誤答のようである。ただし、分析した問題では、小問同士が完全に独立している問題 が多いため、除法での誤答が現れにくかったことも考えられる。239 回では、前問に影響 された除法を用いた誤答も見受けられた。 (2)小数の除法 8級(小学校第4学年程度)で出題した除数が整数の場合の除法では、被除数を 10 倍 したり 100 倍したりしている誤答、その問題とは関係がない値を使っている誤答等が見 られる。 これ以前に学習する整数の除法とは異なり、 数の大小関係だけでは除数と被除数 が決まらないことに対処できていない印象である。 7級(小学校第5学年程度)では、その問題の前の小問の答えの値を用いている誤答が 見られる。問題がやや複雑になり、意味を正確に把握していないために、必要な値を選べ ないと考えられる。 (3)分数の除法 6級(小学校第6学年程度)では、除数と被除数が逆になっている誤答、乗法を用いた 誤答が見られる。 小数の除法と同様に、 問題を正確に読み解いて除数と被除数を決定する ことに課題が見られる。
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