学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- ・除数は正しいが、被除数に問題文の他の数値を用いている(解答類型④) 。 調査対象の問題はどれも小問が3問ある中での2問めないし3問めの問題であ り、調査対象の問題とは関係のない数値も提示されている。問題を解くために必要 な情報を正しく選べなかったことに起因すると考えられる。 (3)7級:分数のわり算(分数÷整数) (資料3) 7級の調査対象となり得る問題は 239 回の1問(小問番号(24) )だけであった。この 問題が基準にする大きさを求める問題であったためか、他の問題とは異なる傾向が見ら れた。 ・ 「その他誤答」が 30%を占める(解答類型④) 。 「その他誤答」 の中に、 小問番号 (22) で求めた答えを用いた答案が 11.1%、 (23) で求めた答えを用いた答案が 2.8%と多く見られた。 これらの誤答は、 (24) が (22) 、 (23)とは独立した問題であることを読み取れていないことを示している。 ・無解答が 14.3%と多い(解答類型⑤) 。 「無解答」 が多いことから、 問題文の意味を読み取れていないことが考えられる。 リンゴの重さが分数で表されているので、状況を実感できなかった可能性がある。 (4)6級:分数のわり算(分数÷分数) (資料4) 231 回は等分除の問題で、基準にする大きさを求める問題であった。253 回は包含除の 問題で何倍にあたるか(割合)を求める問題であった。他は標準的な包含除の問題であっ た。 ・除法を用いている誤答が多い場合(除数と被除数が逆) (解答類型②) 258 回「油の重さが 3/4kg のとき、この油は何 L ですか。 」 (包含除) 除数、 被除数ともに分数である場合である。 包含除の意味を正しく理解していない と考えられる。 253 回「5/6kg は 7/12kg の何倍の重さですか。 」 (包含除-何倍であるか(割合)を求 める) この問題の誤答の多くが除法を用いた誤りである。何倍かを求めるので除法を用 いることは理解しているが、2数がともに分数であるため、除数(基準量)の決定を 誤ったと考えられる。 ・乗法を用いている誤答が多い場合(解答類型③) 231 回「あずきの体重は、シナモンの体重の 1 1/2 倍です。シナモンの体重は何 kg ですか。 」 (等分除-基準にする大きさを求める) 「1 1/2 倍」というところから、よく考えずに乗法を用いたものと考えられる。 274 回「ねん土の重さが 300gのとき、このねん土は何 cm3 ですか。 」 (包含除) 整数値を用いる場合、除法を用いた(除数と被除数を逆にした)誤答より乗法を用
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