学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- ・第5学年:除数が小数の場合の除法、除数が整数の場合の分数の除法 ・第6学年:除数が分数の場合の除法 実用数学技能検定(算数検定)には、6級(小学校第6学年程度)から 11 級(小学校第 1学年程度)まで6階級あり、各階級とも2学年分の範囲から出題されている。たとえば、 6級は小学校第6学年及び第5学年が出題範囲である。受検者は自身の学年相当の階級を 選んで受検することが多いため、たとえば6級では受検者のほとんどが小学校6年生であ る。 分析するための問題として各階級とも出題範囲のうちの上位の学年(6級なら第6学年) の記述式問題を選んだ。答案の中から、誤答の答案を抽出し、立式に用いられている演算や 数値等を分類して、どのような傾向があるかを観た。 3 結果 (1)9級:整数のわり算(整数÷整数、乗法九九の逆算) (資料1) 正答率は 80%以上と高く、多くの受検者は除法の学習が定着していると考えられる。 誤答は少なかったが、以下のような答案が見られた。 ・乗法の式を書いて、計算は除法を行っている(解答類型②) 。 除法が乗法の逆算であるため、商を求めるつもりで誤って乗法の式を書いたと考 えられる。 ・乗法の式を立てて、そのまま計算している(解答類型③) 。 除法で商を求めるときに、乗法を用いるために誤って乗法の式を書いてそのまま 乗法の計算をしてしまったと考えられる。 ・年度の早い時期に実施される検定では、減法の誤答が見られる(解答類型⑤) 。 (270 回 7 月、272 回 8 月、239 回 8 月) 分ける、配るなどの操作で減ることを意識して、減法を用いたと考えられる。 ・小問が独立した問題でない場合、前問の数値を用いてしまう(239 回解答類型⑦) 。 いくつかの小問からなる問題を解くことに慣れていないため、他の小問で提示さ れた値を用いてしまったと考えられる。 以上から、除法が用いられる問題に慣れていないために起こる誤答が多いと考えられ る。 (2)8級:小数のわり算(小数÷整数) (資料2) 8級の調査対象の問題はすべて等分除の問題であった。 ・除数と被除数のどちらか一方を 10 倍、100 倍、1/10 等して、整数の除法あるいは 小数同士の除法に変えている(解答類型③) 。 「何十でわるわり算」で、被除数と除数をともに 10 でわっても商が変わらない ことを、誤って用いた可能性がある。
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