学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- 除法を使って解く問題に見られる誤答
-算数検定の記述式問題の答案の分析を通して- 学習数学研究所 松本 精一 要約 2018 年 8 月 4 日第 100 回全国算数・数学教育研究(東京)大会幼稚園・小学校部会にお いて、 「実用数学技能検定(算数検定)の答案の考察6」と題した研究発表を行った。本稿 は、このときの研究をもとに答案の調査分析を進めて再構成したものである。 小学校第3学年で初めて除法(整数)を学ぶ。その後、除法の学習は、第4学年及び第5 学年で小数、第5学年及び第6学年で分数と数を拡張しながら進む。 実用数学技能検定 (算数検定) 6級~9級で出題した除法に関する記述式問題の答案を分 析し、 どのような誤答が見られるか、 また階級ごとに誤答の傾向に変化が見られるかを調べ た。その結果、9級では演算決定の誤りが見られ、上の階級に進むにしたがって慣れている 計算に置き換える誤り、除数と被除数を逆にする誤りが見られることが分かった。 キーワード:除法、小数、分数 1 研究のねらい 文部科学省小学校学習指導要領解説算数編に、「A数と計算」の領域のねらいとして、 「整数、小数及び分数の意味や表し方について理解できるようにし、数についての感覚を 豊かにする。また、整数、小数及び分数の計算の意味について理解し、それらの計算の仕 方を考え、計算に習熟し活用することができるようにする。さらに、数の意味や計算の仕 方などの学習を通して、数学的な考え方を育て、算数的活動の楽しさや数理的な処理のよ さに気付いていけるようにすることも大切なねらいである。」とある。 「数と計算」のうち、除法に焦点をあて、整数、小数、分数と数が拡張するのに伴い、ど こに課題が見られるかを、算数検定の記述式問題の答案を資料として調査し分析した。 2 研究の内容(方法) 小学校で学習する除法は、以下の通りである。 ・第3学年:整数の除法(除数と商が1位数)、 簡単な整数の除法(除数が1位数で商が2位数) ・第4学年:整数の除法(除数が1位数や2位数で被除数が2位数や3位数)、 除数が整数の場合の小数の除法
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