学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 数学カレンダーの作製は数学学習の普及を目指して 数学学習研究所 渡辺信 1.数学が親子の対話の話題に ちょっとした対話の中に「算数・数学」が話題にならないであろうか。家庭内における親子の話題が 少なくなる傾向がある中で数学が話題になったら面白い。生涯学習としての数学学習は、学校の数学の 試験結果ではないことが話題にならないであろうか。現在の数学学習が学校教育を超えて存在する場を 作りたい。こんなことを思いながら、 「数学カレンダー」が対話のきっかけになることを目指した。親子 の対話の中で、今までは「算数の勉強をしなさい」とか「なんでこんなにできないの」とか、対話とし ては面白くなくなることが多かった。毎日カレンダーを見ながら問題を考え、家庭内で教えあえる環境 を作りたい。 今日からは 「数学カレンダー」 を見て、 知っていることを教え合うことができたら面白い。 親子の対話に、兄弟姉妹の間で、そして友達と「算数・数学」の話題旁をしたい。その話題作りに役立 つ「数学カレンダー」作成をした。 学校で習っていない算数・数学は問題を見ても全くわからない。わからないことを考えることはでき ないので、お互いに教えあうことを重視したい。親子の話で算数・数学の世界は広がったら、現在の学 校教育とは違う数学学習の世界が広がるであろう。問題を解いて答えを出すだけではなく、算数・数学 の話をお互いにすることによって数学の楽しさを体得したい。数学の考え方が世代を超えた「対話」に よって広がる可能性がある。でも、学校教育は知識基盤を作ることに重要な役割を演じている。解けな い問題に対して無理をする必要はない。できない問題、知らないことは後回しにしても良い。まだ習っ ていない問題がいっぱい並んでいることに疑問を感じるかもしれない。学校教育では学年制を敷いて、 効率よく学ぶことを志しているために、上の学年の問題、数学を見ることができない。この「数学カレ ンダー」によって、全く新しい世界が見ることのできる体験は、数学の新しい世界を垣間見ることを可 能にする。話をしながら考えていくことができたら、答えを出すだけではなく、数学の考え方をみんな で協力しながら身に付ける機会を作ることも可能になる 2. 「数学カレンダー」の問題について 問題作成については、数学検定の問題を月曜日から金曜日まで、学年には関係なく並べてある。問題 のグレードは参考のために、 数学検定協会に従った。 学校教育では 10 年ごとに学習指導要領が変わり、 問題の程度が変化する。数学検定協会もこの学習指導要領に影響を受けつつも、身に付けてほしい数学 知識を整理している。親子で学ぶ数学知識は学習指導要領の違いでだいぶ違っている可能性がある。親 は学んでいても子供は知らないことや、ベクトル、行列など子供は知っていても親は全く名前も知らな いこともあるであろう。お互いに協力して解決できればよい。また、休日には「考えたらできるかもし れない・聞いたこともない数学の言葉」が並んでいる。これは休日の問題を考えることによって、また 一歩新しい数学の世界を知ってほしいと思うことによって作られた問題を並べた。学年によらずに考え る楽しさを味わえることに重点を置いた。 「考えてみたら、 挑戦してみたら」 数学知識がなくてもわかる
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