学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 5 考察 解答類型②の反応率はおよそ 15%~20%であり、誤答でもっとも多かった。これらの受 検者は単位の変換を忘れたかあるいは、もともと単位を変換することを意識しなかったと 考えられる。 解答類型③、④の反応率を合わせると、およそ7~9%であり、これらの受検者は単位変 換をしようとしたが誤ったと考えられる。解答類型③は1km=1000mと混同し、解答類型 ④は 1cm=10mm などと混同したものと考えられる。 解答類型②~④は地図上の長さと縮尺の関係については理解していると考えられる。 解答類型⑤は第 299 回(26)のように、商が整数で表されるもので反応率が高く、第 299 回(27) 、第 283 回(27)のように割り切れない場合、反応率は非常に低い。 解答類型⑥は縮尺を用いないで、実際の長さを求めようとする誤答である。 また、解答類型⑤、⑥は、地図上の長さと縮尺の関係を理解していない誤答である。 解答類型⑦、⑧は求める箇所を誤ったものである。地図上の長さと縮尺の関係は理解し ていると考えられる。第 299 回では、 (26)で縦の長さ、 (27)で横の長さと別々の小問で 問われているので、この類型の誤りは発生していない。 6 まとめ 解答類型①(正答)及び解答類型②③④(誤答)を見ると、実際の長さを求めるために は、縮図上の長さに縮尺の逆数をかければよい(もしくは縮図上の長さを縮尺で割ればよ い)ことを、80%以上の受検者が理解していることがわかる。 しかし、25%~30%の受検者は単位換算をしなかったり、誤ったりしている。身の回り には様々な量を表す単位が用いられている。メートル法における単位の相互関係を理解し 正しく換算することは、日常生活や社会生活を送るうえで非常に重要であるので、日頃か ら意識して学習することが求められる。 解答類型⑤⑥にあてはまる受検者は、地図上の長さと縮尺、実際の長さの関係がわかっ ていないので、地図が生活の中で重要であることを認識し、地図に関心を持ち正しく読め るようにすることが必要である。 解答類型⑦⑧にあてはまる受検者は、問題文を注意深く読み取り、求められている解答 がどのような意味をもつかを理解することが必要である。
引用・参考文献 [1]文部科学省「小学校学習指導要領解説 算数編」2008 年
[2]松本精一「実用数学技能検定(算数検定)の答案の考察5」 ,公益社団法人日本数学教育学会 日本数学教育学会誌,第 99 回大会特集号 2017 年(和歌山大会) ,pp229,2017 年 [3]公益財団法人日本数学検定協会「第 299 回実用数学技能検定(算数検定)6級」 [4]公益財団法人日本数学検定協会「第 283 回実用数学技能検定(算数検定)6級」 2017 年 2016 年
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