学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 交流理論では常微分方程式やその解法であるラプラス変換に一部関連してくる。 ③電気と磁気(電磁気学) 電気と磁気(電磁気学)では高度な大学数学が必要になってくる。微積分(偏微分、重積 分も含めて)は勿論、ベクトル解析そして電磁気学の集大成であるマクスウエル方程式では 偏微分方程式が関連してくる。 (3)情報系数学 情報通信理論、情報数学・離散数学、多変量統計解析と数学との関連も調査した (図表3:情報系数学 俯瞰チャート) 。 ①情報通信理論 情報通信理論は、 熱力学で出てきたエントロピーと関連し、 力学系高校レベルの数学では、 特に情報エントロピーを表す対数が主に使われる。通信路符号化では確率や線形代数にも関 連してくる。ただ、符号化理論では、ガロア拡大体といった代数学の知識が必要になってく る。 ②情報数学・離散数学 おもに集合と論理、グラフ理論などの離散数学自体に関連する。 ③多変量統計解析 多変量統計解析は、従来からの古典的手法で、統計学や線形代数が主である。 この領域はダイナミックに変動している。今後、現代流行のデータサイエンスや人工知能 と関連し、非常に活性化する領域でもあり、調査を継続したいと考えている。 (4)金融系数学 証券投資理論、財務分析(コーポレートファイナンス) 、経済理論と数学の関連も調査した (図表4:金融工学/経済学 俯瞰チャート) 。 証券投資理論では、中学数学の内容はいうまでもなく統計学を含んだ高校レベルの非常に 広範な数学に関連してくる。さらに金融派生商品の投資になると、デリバティブ価格をブラ ックショールズ式では、確率過程を含んだ非常に高度な確率微分方程式(非線形偏微分方程 式)が登場してくる。 また、財務分析(コーポレートファイナンス) 、経済理論にも数学が使われ、特に後者では 経済学という文系の領域でありながら数学が大いに関連している。 4.結語 今回の調査において4つの数学系にまとめたが、考え方次第では、電気系、力学系をひとつ にすべきなど他に様々な分類の仕方があるかもしれない。 ただ分類の方法でいろいろ考えても次のステップに進めないので、 今回は便宜上4つに分類し、 それぞれの単元・内容がどの数学要素にマッピングされているかを調査した。
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