学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 数学の科学・工学分野への適用調査
学習数学研究所 中村 要約 科学や工学の各分野でどのような数学の内容・手法が適用されているかという一連の調査を 実施し、俯瞰チャート(関連マトリックス)が作成でき一定の成果が得られたので報告する。 キーワード:数学、俯瞰チャート、STEM 教育 1.はじめに 数学が、科学や工学の分野で広く活用されていることはいう疑う余地はないが、具体的に物 理学などの科学や、機械工学、電気工学、建築・土木工学といった各種工学の分野で、 数学のどのような内容・手法が適用されているかという調査を実施し、ある程度まとまったの で報告する。 2.調査方法 数学 ⇔ 科学 ⇔ 工学の3つの領域においてそのような関連があるかを、各種文献やネット 情報からの検索などでまとめた図が、全体俯瞰マップである。 数学の様々な分野・手法が、物理学などの科学の分野や各種工学の分野と複雑に絡みあいな がらも、非常に密接な関係があることがわかる。 一見、秩序立っていない混とんとした図と思われるが、適用分野に応じて数学が電気系、力 学系、 情報系、 金融系の大きく4つの分野に関連づけられるように考えられる。 特に、 電気系、 力学系は物理学をインタフェースとして経由しながら、建築・土木・機械工学、電気工学など の工学へ関連しており、情報系に関しては、科学系のフィールドとして情報科学を経由して、 情報・通信工学と結びついている。また制御理論も制御工学に関連するとして、力学系へ組み 入れたが、情報系へ組み込んだ方がベターかもしれない。 また、金融系も数理ファイナンスを経て、金融工学へ関連していると思われる。 3.調査結果 次に4分野、すなわち、力学系、電気系、情報系、金融系における数学とは具体的に何か、 各分野を構成するそれぞれの要素が中学、高校、大学で学ぶ数学のどの内容(単元)と関係づ けられるか、すなわちどのようにマッピングされているかを詳細に調べて、4個の関連マトリ ックスを作成した。 力
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