学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- れた。「次期」では、上述のように、統計的な内容を算数・数学科で同一の領域名称「Dデータの 活用」で括り、さらに充実させることとなった。 これに伴い、算数科の領域は数学科の領域との関連に配慮して再編成されている。「現行」の 「D数量関係」(式表現、関数的内容、統計的内容)の統計的な内容が「Dデータの活用」で括られ たことにより、式表現(□や△、x、yなど文字)は数学科の「A数と式」との関連で「A数と計算」 へ、関数的内容は数学科の「C関数」との関連で新領域「C変化と関係」(第4学年~6学年)へそ れぞれ移行している。さらに、算数科では図形についての考察が「B量と測定」と「C図形」の二 つの領域に分けて示されてきたが、数学科の場合と同様に、「B量と測定」で取り上げていた面 積や体積など図形の定量的把握についての内容を「C図形」の内容(図形の定性的把握について の内容)と統合し「B図形」としている。 これにともない、 従前の「B量と測定」で主として下学年 で取り上げていた量の測定に関する内容をまとめて領域「C測定」を新設している。 小・中学校の領域の再構成にともない、 各領域の位置づけや趣旨に若干の変更があり、 それら を内容の系統の整理、指導計画の作成、授業の改善にどのように反映させていくかなどが課題 となっている。 ② 統計的な探究過程の重視 「小・中・高等学校を通じた統計教育のイメージ、内容等の整理(資料8)」([19])において、 たとえば、 中学校数学では「統計的に分析するための知識・技能を理解し、 日常生活や社会生活 の場面において問題を発見し、調査を行いデータを集めて表やグラフに表し、統計量を求める ことで、 分布の傾向を把 握したり、 二つ以上の集 団を比較したりして、 問 題解決や意思決定につ なげる」こと及び「デー タの収集方法や統計的 な分析結果などを多面 的に吟味する」ことが例 示されている([20])。こ れらのことは、 右の図に 整理して提案されてい る([21])。この図は、上 述の「算数・数学科の問 題発見・解決の過程」を統計的な探究の過程に援用したもので、 とりわけ、 「データを収集しグラ フにし分析すること」を「繰り返すこと」及び「多面的、 批判的に考察すること」を重視し、 強調し ていることが特徴的である。 これを受けて、小中学校学習指導要領解説(算数編、数学編)では、 「問題(Problem)-計画 (Plan)-データ(Data)-分析(Analysis)-結論(Conclusion)」 (PPDAC)と「データの収集・分
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