学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- ⑤ 数学的活動を充実するための授業改善 数学的活動を充実するための授業改善では、とりわけ、数学的活動の教育の方法及び内容と しての側面が重要であると考える。すなわち、教育の目標としての数学的活動が児童・生徒に おいて確かで豊かに実現できるよう導くことが重要だからである。 このため、まず、単元全体または小単元全体を視野に入れた指導計画を立案することが大切 である。 数学的活動を通した意図的・計画的な指導と児童・生徒が数学的活動を実体験すること のバランスをとることである。 次いで、数学的探究の方法について、意図的、計画的な指導をすることが大切である。たと えば、授業の終末での学習のまとめでは、事実知にとどまらず方法知や学びに向かう力に関わ ることも対等に位置づけ児童の意識にしっかりと刻むことが必要となろう。その際、「答申」
([3])の別添資料 4-3「算数・数学の問題発見・解決のプロセスと育成すべき資質・能力」が参考に
できよう。 (3) 統計的な探究と数学的活動 統計的な内容の充実については、 「社会生活などの様々な場面において、 必要なデータを収集 して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりすることが求められてお り、そのような能力を育成するため、高等学校情報科等との関連も図りつつ、小・中・高等学 校教育を通じて統計的な内容等の改善について検討していくことが必要である。 」([3])とされ、 このことを受けて、領域「Dデータの活用」の新設と統計的な探究(問題解決や意志決定)の過程 を重視することに視点をおいて充実を図っている。 ① 領域「Dデータの活用」の新設 算数・数学科では、新領域「Dデータの活用」を設定し、内容の系統、各学年、各学校段階での 指導の重点を一層明確にしている([18])。 算数・数学科での統計的な内容は、昭和 30 年代の改訂で新設された領域「数量関係」の内容の 一部分として位置 づけられていた が、「現行」で、算 数科では従前の第 3 学年からの「数 量関係」を第 1 学 年からに拡げ、数 学科では領域「数 量関係」を「関数」 と「資料の活用」の 二つの領域に分割 し、一層の充実を 図る方向で改訂さ
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