学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 理解し, それらを用いることができ るようにする。 ア 加法及び減法が用いられる場合 について知ること。 イ 1位数と1位数との加法及びそ の逆の減法の計算の仕方を考え, そ れらの計算が確実にできること。 ウ 簡単な場合について,2位数な どの加法及び減法の計算の仕方を 考えること。
れる場合について知ること。 (イ) 加法及び減法が用いられる場面を式に表したり,式を 読み取ったりすること。 (ウ) 1位数と1位数の加法及びその逆の減法の計算が確実 にできること。 (エ) 簡単な場合について,2位数などについても加法及び 減法ができることを知ること。 イ 次のような思考力, 判断力, 表現力等を身に付けること。 (ア) 数量の関係に着目し,計算の意味や計算の仕方を考え たり,日常生活に生かしたりすること。
「現行」では、知識や技能にかかわることと能力にかかわることが、学年目標の場合と同様に 混在している。 「次期」では、「現行」の(2)が「ア 次のような知識及び技能を身に付けること」と「イ 次のよう な思考力, 判断力,表現力等を身に付けること」として「知識・技能」と「能力」に対応する項目に 分割され、それぞれの下位項目として「(ア)加法及び減法の意味について理解し、それらが用い られる場合について知ること」や「(ア)数量の関係に着目し、計算の意味や計算の仕方を考えた り、 日常生活に生かしたりすること」として位置づけられている。そして、 アとイを総括する形 で、 教科目標の総括的な目標の趣旨を反映し、 「(2)加法及び減法に関わる数学的活動を通して, 次の事項を身に付けることができるよう指導する」を新設し、各指導事項の指導では「数学的活 動を通して」行うことを明示している。 結果、 「能力」に関わる内容が顕在化されることとなった。 なお、 「態度」に対応する項目の記述は各指導事項に明示されていないが、 それは学年目標の(3) で代表させ、それぞれの指導事項の指導の前提としており、重複を避けていると見てよい。 (3) 教育目標等の構造化の背景にあること 今世紀は「新しい知識・情報・技術が、 社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重 要性を増していく」知識基盤社会と言われて久しい。最近、 「進化した人工知能が様々な判断を 行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代」の到来、いわゆ る第4次産業革命の進展が言われている。「次期」での教育目標等の構造化の背景にはこれらの 社会の変化への認識があったと見てよい。現在進行中の第四次産業革命のまっただ中で、たく ましく、 そして豊かに生き抜いてけるために、 児童・生徒が学校教育を通じて身に付ける必要が ある資質・能力をどのようにとらえたらよいか、そして、それらをどのように身に付けていく か、いずれも「次期」での重要な論点であり、今後も引き続き重要な論点となるであろう。 こうした背景の中で、「次期」では、「人間ならではの強み」に着目し、生きる力の再構造化を 図ることでこのことに対応しようとしていると言える。ここでは、そのことに視点をおいて、 ポイントを整理することとする。 ① 人間ならではの強みの意識 人間ならではの強みを「感性を豊かに働かせながら、 どのような未来を創っていくのか、 どの
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