学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 現行(平成 20 年改訂) (1) 数を正の数と負の数まで拡張し, 数の 概念についての理解を深める。また,文字 を用いることや方程式の必要性と意味を 理解するとともに, 数量の関係や法則など を一般的にかつ簡潔に表現して処理した り, 一元一次方程式を用いたりする能力を 培う。 〔A 数と式〕
次期(平成 29 年改訂) (1) 正の数と負の数,文字を用いた式と一元一次方程 式,平面図形と空間図形,比例と反比例,データの分 布と確率などについての基礎的な概念や原理・法則な どを理解するとともに,事象を数理的に捉えたり,数 学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技 能を身に付けるようにする。 〔(1) 知識・理解〕 (2) 数の範囲を拡張し,数の性質や計算について考察
(2) 平面図形や空間図形についての観察, したり,文字を用いて数量の関係や法則などを考察し 操作や実験などの活動を通して, 図形に対 する直観的な見方や考え方を深めるとと もに,論理的に考察し表現する能力を培 う。 〔B 図形〕 たりする力,図形の構成要素や構成の仕方に着目し, 図形の性質や関係を直観的に捉え論理的に考察する 力,数量の変化や対応に着目して関数関係を見いだ し,その特徴を表,式,グラフなどで考察する力,デ
(3) 具体的な事象を調べることを通して, ータの分布に着目し,その傾向を読み取り批判的に考 比例, 反比例についての理解を深めるとと もに, 関数関係を見いだし表現し考察する 能力を培う。 〔C 関数〕 察して判断したり,不確定な事象の起こりやすさにつ いて考察したりする力を養う。 〔(2) 能力〕 (3) 数学的活動の楽しさや数学のよさに気付いて粘 り強く考え,数学を生活や学習に生かそうとする態 (4) 目的に応じて資料を収集して整理し, 度,問題解決の過程を振り返って検討しようとする態 その資料の傾向を読み取る能力を培う。 〔D 資料の活用〕 度, 多面的に捉え考えようとする態度を養う。 〔(3) 態 度〕
「現行」では、 それまで同様、 学年目標を内容領域に対応させて整理しているが、 それに伴い、 各項目には理解や技能にかかわる要素に能力にかかわる要素が組み込まれる形式で位置づけら れている。「次期」では、それを「知識・理解」及び「能力」で括り、さらに「態度」を加えて三つの 柱で系統が明確になり、一層精緻化されて整理されている。 さらに、 「次期」では教育目標(教科目標及び学年目標)と指導事項との関連も構造的に整理し、 一層明確にしている。たとえば、「現行」の算数科第一学年領域「A 数と計算」の指導事項(2)で 見てみよう。次頁のようである(下線引用者)。 「現行」は「(2)加法及び減法の意味について理解し、 それらを用いることができるようにする」 を受け、「ア 加法及び減法が用いられる場合について知ること」などと指導項目を示す形式で、
現行(平成 20 年改訂) 次期(平成 29 年改訂) (2) 加法及び減法に関わる数学的活動を通して,次の事項 を身に付けることができるよう指導する。 ア 次のような知識及び技能を身に付けること。 (2) 加法及び減法の意味について (ア) 加法及び減法の意味について理解し,それらが用いら
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