思考力・表現力を養い、
主体的学習者を育てる「数学検定」

  • 高等学校
  • 京都府立桃山高等学校(京都府) 
    お話:松林 正嗣教諭

本校は、2018年度末から数学検定(数検)を導入していますが、私自身は2003年から数検を担当していると記憶しています。過去に赴任した4つの高等学校すべてで導入を進め、数検を実施することの教育的効果や価値を実感してきました。団体受検を続けていくうちに、生徒も努力を重ねた結果、卓越して優秀な団体であるとの評価をうけ、「実用数学技能検定『数検』グランプリ 文部科学大臣賞」を受賞したこともあります。現任校でも迷うことなく、数検を実施しています。

実施後のアンケートでは、回答者の6割が検定の継続実施を希望

本校の学校経営計画の数学の領域には、「習熟度の高い生徒向けに(中略)数学検定を中心として、授業とは違う観点で数学に触れる機会を増やす」と記載があります。その効果を測るべく、数検を受検した生徒の反響を知るため、検定の実施後にアンケートを行っています。2021年9月24日に実施した検定のアンケート結果をご紹介します(回答数51人)。

(1)なぜ数検を受検したか

なぜ数検を受検したかなぜ数検を受検したか

(2)検定を受けた後の感想

検定を受けた後の感想検定を受けた後の感想

(3)数検を受検した後の具体的な感想(一部抜粋)

  • 数学力が数値化されて自信になった。
  • 数学に自信がなかったが、想像以上に点数を取ることができて自信がついた。
  • 基礎力を身につけるきっかけになった。
  • より進学先に行きたいという気持ちが増した。
  • 数学の学習が以前よりも楽しくなった。
  • 家族が喜んでくれることをうれしく感じた。

(4)今後も数検を団体受検することの意義

6割の生徒が「今後も続けるべきいい企画だと思う」と回答してくれています。

今後も数検を団体受検することの意義今後も数検を団体受検することの意義

以上のことから、本校での数検導入のメリットを感じていただけたのではないかと思います。

数検をきっかけに数学科通信を発行、生徒の交流機会の提供に

数検をきっかけに数学科通信を発行、生徒の交流機会の提供に数検の検定問題は、数学の授業でも活用しています。思考力・表現力を養うための問題として、教科書問題集とは別に演習問題として使用することがあります。
また、本校独自に数学科通信「Galois(ガロア)」を発行し、受検案内や検定後の結果報告を行っています。この数学科通信では、学年を超えた形でチャレンジ問題を投げかけて、そのレポートを募ったり、読者である生徒からもチャレンジ問題を投稿してもらったりするなど、数学をとおした生徒間の交流の機会も設けています。数学科通信の発行は、数検の取り組みのなかで生まれたものです。

検定料を生徒が個々に支払うことで、金銭にかかわる課題が解決

学校としての特性上、生徒が学校に現金を持参する場面を極力減らすという意向から、最近は金銭の取り扱いは金融機関への振り込みを用いることがほとんどです。模擬テストの代金の徴収などに加え、数検の検定料もその趣旨から「検定料志願者払い制度」という支払方法を利用しています。この支払方法は、生徒個人がコンビニエンスストアなどで検定料を支払うことができるため、教員が現金を集めることもなくなります。この制度を導入したことにより、学校としての懸念事項を減らすことができ、金銭にかかわる課題が解決したように思います。

最後になりますが、数検を受検した生徒の声を聞く限り、生徒たちは受検をとおしてさまざまな力をつけることができ、おおむね満足しているようです。本校における団体受検を支持する生徒も多くいます。数検の教育的効果・価値もふまえて、今後も継続していきたいと考えています。
今後の課題としては、アンケート結果からも読み取れますが、まだまだ教員からの働きかけの如何で受検者数が上下するという点は否めません。学校の継続した取り組みとしてさらなる定着を図っていく必要があると考えています。

※「検定料志願者払い制度」とは
通常、団体受検の検定料は団体の担当者が集金と振り込みを行いますが、「検定料志願者払い制度」では志願者本人がコンビニエンスストアで検定料を支払います。