学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- 高校理科における数学活用調査
学習数学研究所 中村 力 要約 前回に引き続き、今回は高等学校の理科(物理、化学、生物、地学)においてどのよう な数学(算数)が使われているかに関する調査を行い、一定の成果が得られたので報告す る。 キーワード:数学、俯瞰チャート、STEM 教育 1.はじめに 前回は、数学が科学や工学の分野で具体的には物理学などの科学、また機械工学、電気 工学、建築・土木工学といった各種工学の分野で、どのような数学的内容・手法が適用さ れているかの調査を実施・報告した(※1) 。 今回は、その継続として高等学校の理科(物理、化学、生物、地学)において、どのよ うな数学(算数)が使われているかの調査を報告する。 2.調査方法 調査方法に関しては、高等学校理科の全国の高等学校で採択率の高い教科書を物理、化 学、生物、地学それぞれ3~4冊ずつ入手し、さらに関連文献やネット情報からの検索な どの情報をもとに調査分析を行った。 すなわち、高校理科、すなわち物理、化学、生物、地学において、小学校の算数、中学 数学、高校数学、大学数学のどのような理論や手法が適用されているかを細かく分析調査 し、前報告(※1)同様に、俯瞰チャートとしてマトリックスに落とし込んだ。 3.調査結果 (1)物理と数学との関連 高校物理の大分類-様々な運動、熱、波、電気と磁気、原子・分子の世界 と 数学の関係をマトリックスにまとめた(図表1:高校物理 俯瞰チャート) 。 全体的にいえるのは、高校物理では各種数学の手法が用いられており、数学と の相関が高く、すなわち数学の依存性が非常に高いことがわかる。 次に物理の各大分類で詳細に見てみよう。
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