学習数学研究紀要 創刊号(第2巻)

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- 第 9 回検定問題等検討会(2018.7.17)
数学用語の変更と問題点
1.方程式の「解」 方程式の根 root が解に変わった段階から用語の解釈が変わった。この問題はもう解決済 みなのかもしれないが確認をしたい。 2 次方程式 (x-1)2=0 の解は x=1 である。 以前はこの根x=1は重根として 2 個と数えた 代数学の基本定理である 「n次方程式の解はn個」 に対して、2 次方程式 (x-1)2=0 の 解は x=1 の 1 個は言葉の上で問題があるのではないかと思う。 数学検定では回答は「2 次方程式 (x-1)2=0 の解は x=1 である」を用いている。 この問題と似てくることが「接点」の扱いではないか。 (1) 円の接線の定義は半径と直交する点であるならば1点である。 割線と円との交点2点が限りなく近づく点としたときには2点が存在する。 (2) 曲線に対する接線を考えるときは、 (a.f(a))と (a+h.f(a+h))の2点の平均変 化率 このときも2点を考えている。 (3) x軸上での接点はこの点を2回通るとしたときに意味があう。 二つの曲線の「共有点」と言う言葉によって接点は1個と数えている。 判別式 D=0のとき の共有点は1点である。次の問題では共有点をどのように数えるのか? y=x3-3xとy=cとの交点の個数 c<-1のとき c=-1のとき c=1のとき 1<cのとき 2.積分定数の効用・必要性 積分の計算問題では積分定数 C を付けることになっている。不定積分であるから当然で あるが、定積分になると、計算上で入らない。この C を重視している感じがあるが、どの ように考えているのであろうか。積分定数を付けない解答の扱いは? 例えば速度 v=4で歩いたときにs=4t+cの直線群が解になるが、 初期条件が付く問 題のほうが応用的ではないか。応用するときには積分定数が必要になってくる。 また、三角関数などの答えの表現にはいろいろな表現があるので、C は必要かもしれない。 積分定数 C を必ず付けることを強調していく必要性はあるか。 (渡辺信) 1個 2個 2個 1個
-1<c<1のとき3個
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