学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 三乗和の公式の簡単な求め方
学習数学研究所 特別顧問 一松 信 0.はじめに 三乗数の和(略して三乗和とよぶ)の公式
3 1 +23++n 3 = k 3 =
k= 1 n
(n+1) n 2
2
……⑴
は有名でよく知られている。この公式は三角数Tn を活用すると,以下のように容易に示 すことができる。簡単な注意だが,検定問題に出題されたこともあるので,この機会にま とめて3通りの証明を紹介する。 1.準備―三角数の性質 1+2+・・・+n =Tn =
n (n+ 1) 2
……⑵
は等差数列の和として,あるいは図形的にも容易に示される(三角数とよぶ) 。補助定理 として 命題1
Tn- 1+Tn = n 2
2
……⑶ ……⑷
命題2 1+3+5+・・・+ (2k -1) =k きる。 2.三乗和の公式―第1証明
⑷は順次の奇数 k 個の和である。 これらは⑵からも, あるいは図形的にも容易に証明で
三角数の定義からTk -Tk- 1=k である。これと⑶(n を k とする)を掛けると
2 k3 = (Tk -Tk- 1) (Tk +Tk- 1) =Tk 2 -Tk- 1
……⑸
2
である。T0 =0,T1 =1により,⑸を k=1から n まで加えれば,三乗数の和はTn とな る。これは所要の式⑴である。▯ 3.三乗和の公式―第2証明 1から始まる奇数の列を順次 k 個ごとに区切って,第 k ブロックC k とする。 1|3 5|7 9 11|13 15 17 19|21 2Tk- 1+1= k 2-k+1 23 25 27 29|・・・ 第 k ブロックの初項は,その前にTk- 1個の奇数があるので ……⑹
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