学習数学研究紀要 創刊号(第1巻)

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- 巻頭言
学習数学研究所 所長 清水 静海(*) 平成 11 年 7 月文部科学省の認可を受けて財団法人日本数学検定協会が発足しました。この 法人の目的の一つに「学習数学の体系的研究を推進する」ことがあり、そのため、平成 13 年 学習数学研究所を設立し、同年には文部科学省より科学研究費補助金取扱規程で定められた研 究機関に指定されました。しかし、諸般の事情により平成 22 年 6 月学習数学研究所をやむを 得ず閉じることとしました。 平成 25 年 10 月、財団法人日本数学検定協会は財団法人から公益財団法人に法人格を移行 し、 「当協会における研究の基盤を担い、実用数学技能検定(数学検定・算数検定)を中心と する研究及び調査を行い、数学の生涯学習の進歩発展に寄与する」ことを目的として、平成 28 年 2 月学習数学研究所(以下、単に研究所とする。)を設立しました。研究所の主要な事業 は、①数学の生涯学習に関する研究の実施、②検定に関する研究の実施、③算数教育及び数学 教育に関する研究の実施、④研究会・講演会等の開催、⑤紀要の刊行等です。これらの事業に は、研究所員はじめ、協会員ならびに研究所をお支えいただいています幼小中高大学の教員を 中心に構成されたシンクタンクの皆様に深くかかわっていただき、多くの方々のご支援により 展開されています。 この度、公益に資する活動を展開する一貫として、研究所の研究や活動等について取りまと め、紀要として公にし、情報を共有することとなりました。研究所設立後、平成 30 年 3 月ま でのおよそ 2 年間に、研究部門で実施した「数学の生涯学習」 、 「検定結果の分析」 、 「コンテン ツの開発」に関する研究の内容を論文等記事にまとめるとともに、運営部門、検定問題品質管 理部門の活動に関する内容も掲載することとしました。 学習指導要領が改訂され、小学校では2020年度から、中学校では2021年度からそれぞれ完全 実施され、高等学校では2022年から学年進行で実施されることになっています。育成を目指す 資質・能力が「知識及び技能」、「思考力,判断力,表現力等」、「学びに向かう力,人間性 等」の三つの柱に基づいて整理され、自立と協働による創造を支え、価値ある新たなものを生 み出すものとして働くようにし、「人間ならではの強み」を明らかにし、それを活かすことを 中核においた教育が実施されようとしています。算数や数学の学びを通して育まれた資質・能 力は、こうした方向を基盤として支えることができると確信しています。 紀要の創刊を機に、生涯学習及び算数・数学教育に関する研究活動をさらに進めて、将来に 渡って有用な情報を発信し、社会に貢献できる体制を整えてまいります。また、当協会の一松 信名誉会長、甘利俊一会長、合原一幸理事から紀要の創刊に寄せてお祝辞をいただきました。 皆様からのご期待を今後の活動の励みとして精進してまいります。皆様からのご指導、ご鞭 撻、引き続き宜しくお願いします。
(*)公益財団法人日本数学検定協会理事長・帝京大学教育学部教授
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