自分たちの教育成果を
「数検」で見える化する

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  • 学校法人 川越白ゆり幼稚園(埼玉県) 
    お話:中村喜彦 教育センター副主任

独自の「つみき教育」で伸びた力を算数検定で見る

独自の「つみき教育」で伸びた力を算数検定で見るこの学園では、幼稚園を中心に、入園前の子育てや小学生の課外活動を支援する独自の教育を実践しています。対象は1歳から小学6年生まで。さまざまな取り組みをしていて、大きな特徴の1つは「つみき教育」です。いろいろな形や色、大きさの積み木を用意し、園独自のカリキュラムで楽しく遊ぶことによって数や形を扱う能力を自然と伸ばすことができます。ここで学んでいる小学1年生の多くは、九九を習っていないのに、算数検定の10級(小学校2年生程度)や9級(小学校3年生程度)に合格します。それは、つみき教育によって数を量として捉えられるようになっているからです。たとえば、7の5倍という問題が出たら「7が5回あることだ!」と本質的に気づけるのです。

私たちは、この「つみき教育」に自信をもっています。ただ、学校のカリキュラムとは異なる教育法なので、子どもたちがいったいどれくらいの能力を身につけたのか、保護者や外部の方たちには分かりにくいところがあります。そこで「算数検定」と「かず・かたち検定」を導入しました。算数検定は、階級が小学校の学年に対応しています。「かず・かたち検定」も、小学校に入る前に、どれくらい算数の力が身についたのかが客観的に分かります。保護者に検定結果をお知らせすると、「うちの子どもはここまでできるようになった」とすぐに分かり、とても安心されます。その安心がやがて保護者の自信になり、子どもの自信にもつながっていきます。

失敗から学び、大きな成果をつかんでほしい

失敗から学び、大きな成果をつかんでほしい算数検定をとおして、私たちは子どもたちに目標を持って計画的に自学自習するという経験をさせたいと思っています。学年よりも上の級をめざせば、きちんと計画を立てて、自分で学ばなくてはなりません。それをさせたいのです。

検定は、毎年3回、8月と12月と3月に実施します。とくに一生懸命取り組んだ子どもは、配布物に名前を載せて紹介するので、多くの子が「自分も載りたい」と思うようになるようです。申し込んだ子どもには、家庭で自習ができるように検定の過去問題を渡し、「分からないところがあったら質問して」と伝え、質問に来たらその場で対応します。

また、希望者には模擬試験の場も用意しています。日時を決めて教室に集まり、検定の過去問題を使って本番のように実施します。問題用紙と解答用紙を分け、同じ制限時間で、しっかりと緊張感を漂わせます。採点してケアレスミスなどがあったら、それも本人にフィードバックします。子どもたちには、失敗から学び、大きな成果をつかむきっかけを経験してほしいと考えています。算数検定には、「満点合格」という結果もあって、子どもたちは達成できないと、「解けていたのにあそこでミスした!」と反省することになります。これが教訓となり、自ら苦手なところに向き合いながら、注意深く取り組むようになります。

算数教育で鍛えた力が他の教科でも生きる

算数教育で鍛えた力が他の教科でも生きる私たちのつみき教育は、能力だけでなく、心も鍛えられます。とくに集中力と意欲を伸ばせる。これに算数検定が組み合わさって、子どもが自ら目標を作って力を伸ばせるようにもなってきました。この身についた力は、算数以外の科目でも発揮されています。2018年度の小学校6年生で、つみき教育で算数が大好きになった3人がいて、そのうちの2人は数学検定の2級(高校2年生程度)に合格し、もう1人は2級の1次に合格しました。その3人は地元の公立中学校に進学し、初めての中間試験で全教科の合計点でトップ3を占めたそうです。その上の学年でも、成績トップ2の生徒は本学園の出身者でした。

遊ぶようにして学び、褒められて意欲を高め、やる気が出ればおもしろくなるし、おもしろくなるとどんどん伸びる。これを私たちは「やる気の法則」と呼んでいますが、このループがあれば、どんな分野でも自分の能力を伸ばせるんです。そして、褒められなくてもみずから目標を立てて学んで能力を高めていく楽しさを知っていき、人としても成長していく。これからもそんな子を育てたいですし、もっと良い教育法を探し続け、算数検定のように良いものがあれば取り入れていこうと思っています。