「数検」でより高い数学力を
習得し、
課題解決できる
人材を育てる

  • 中学校
  • 青森市立南中学校(青森県) 
    お話:三上健教諭

より高い学力を習得する手段として数検を活用

より高い学力を習得する手段として数検を活用本校は、青森市中心部に位置し、市内最大数の生徒が通学しています。4人に1人の生徒が他学区から通い、なかには徒歩で片道40~50分かけて通学する生徒もいて、本校の教育に対する保護者の期待がとても大きいと感じています。その期待に応えるべく、より高い学力を習得する手段の1つとして数学検定(以下、数検)を活用し、数学力の向上を図っています。

昨年2018年度は、全校生徒639人のうちのべ201人が数検を受検しました。数検の案内は、全校生徒1人ひとりにプリントを配付しています。そのプリントには、数学担当教員が持っている過去問題を確認してから受検を決めてもよいこと、そして検定実施前には数学担当教員が勉強会を開催することを記載しています。勉強会は、検定実施日の約1週間前から放課後に開催しています。この勉強会は強制ではなく、希望者が自由に参加するスタイルで実施していますが、平均参加人数は35人ほどと、検定1回あたりの志願者数の半数以上が参加しています。生徒たちは個々に購入した問題集を解いたり、教員に質問に来たり、生徒同士で教え合ったりして理解を深めています。また、参加者を1つの教室に集約して行っているので、自然と他学年との交流が生まれます。3年生が2年生に教えている光景を見ると頼もしく、晴ればれとした気持ちになります。

学習意欲が向上し、上の階級をめざす生徒が増える

学習意欲が向上し、上の階級をめざす生徒が増える数学という教科の特性上、予習する能力より復習する能力の方が、高校入試に向けた対策としては必要だと思いますが、本校の生徒で数検を受検する生徒の多くは所属学年よりも上の階級を受検する傾向にあります。そのため放課後の勉強会では、未履修の内容を教えることも少なくありません。検定取得は入試対策のメリットもあると思いますが、上の階級に何度も挑戦している生徒の多くは、自分がまだ知らない数学の世界でおもしろさを実感したいと考えているようです。

このように数検に前向きな生徒が多く、上の階級を取得している仲間がそばにいることが、周囲の生徒の「自分も数検を受けてみようかな」という意欲につながっていると感じています。私が本校に赴任してから4年が経ちましたが、最近になって2級や準2級の受検者が以前よりも増えてきたことを実感しています。このような能力の高い生徒への対応を重ね、中学生の段階から高校数学や大学数学に触れさせる機会を増やしていくというのが理想です。

また、所属学年相応の階級を受検する生徒も少なくありません。このような生徒へは既習事項の定着を図っていきます。数学のおもしろさを伝え、高校生になっても数学の学習に前向きに取り組める生徒を育成することの必要性を強く感じています。

数学をとおして課題解決できる人材を育てる

数学をとおして課題解決できる人材を育てる数学の学習・授業においては、解法を教え込むのではなく、「数学のおもしろさを伝える」ことを念頭に取り組んでおり、生徒も「数学って解ければおもしろいんだ!」と声に出して応えてくれます。一生懸命に考え、導き出した答えが正解であったとき、得られる大きな自信と喜びは何ものにも代えがたい貴重な経験となります。1人ひとりの視点に立ち、何に気づけば、何を知っていれば解けるのかを考えさせるために、授業では考えるための重点ポイントを強調して伝え、課題解決に向けた思考の時間を多く与えています。その結果、演習の時間になると自分の席を離れ、真剣に質問しあう生徒も現れました。このように互いに教えあう雰囲気や自主性を大切にすることで、算数分野でつまずいてから数学に苦手意識を持っていた生徒も、「克服できたよ!」と笑顔で報告してくれるなど、日々の指導の成果をうれしく感じています。

どの教科の学習においても、生徒自身が意欲的に、そして仲間とコミュニケーションをとりながら課題解決に向かう力を養っていくことが不可欠です。私は常に「友だちから教えてもらったら思いやりで返しましょう」と伝えます。感謝の気持ちを体現し、円滑な人間関係の構築にも寄与できたらという思いです。これからの時代は「変化に確実に対応できる人材・能力」が求められる社会になると予想しています。数学をとおして問題から与えられる情報を収集・処理する能力を有し、課題を解決するために仲間と協力できる生徒を育成することが、変化に富んだ現代に対応できる人材を育てることにつながると考えています。