サンプル検定問題

ビジネス数学検定では、さまざまなビジネスシーンで求められる「把握力」「分析力」「選択力」「予測力」「表現力」に関連する問題が出題されます。各階級のサンプル問題を用意いたしましたので、学習するうえでの参考や受検階級を選ぶ際の目安としてお使いください。

3級

3級・把握力物事の状況や特徴をつかむ力

下の棒グラフはA社の製品別の売上高を示しています。A社の全売上高に対して上位3製品の売上高が占める割合は何%ですか。

A社の製品別売上高
5,425 1,627 814 543 271 434
製品P 製品Q 製品R 製品S 製品T その他

単位:百万円

A社のそれぞれの製品が売上にどの程度貢献しているのかを棒グラフから把握する問題です。

グラフの数値から、A社の全売上高は、5,425+1,627+814+543+271+434=9,114(百万円)

上位3製品の売上高は5,425+1,627+814=7,866(百万円)

よって、全売上高に対する上位3製品の売上高の占める割合は7,866÷9,114×100=86.30…≒86.3%となります。

3級・分析力規則性や変化、相関などを見抜く力

小売店Eでは、原価12,000円の商品Aに原価に対して40%の金額を上乗せして定価をつけましたが、この定価では売れなかったため、定価の2割引きの販売価格で売りました。このとき、商品Aの販売価格はいくらですか。

販売価格・利益の計算問題です。

「小売店Eでは、原価12,000円の商品Aに40%の利益を見込んで定価をつけた」のだから、この商品の定価は

12,000+12,000×0.40=16,800円

ところが、定価では売れなかったため、「定価の2割引の販売価格で売った」のだから、商品Aの販売価格は

16,800-16,800×0.2=13,440円

となるので、正解は②。

割合を考えるときには、「何に対する割合なのか」に常に注意しましょう。

解説画像

3級・選択力いくつかの選択肢から最適なものを選ぶ力

調達担当のP氏は来春から大量導入するパソコンのメーカーの選定作業に入りました。どのメーカーも機能や性能は同じスペックの製品があるので、安く早く、安心して使い続けられ、かつ、導入実績のあるメーカーから調達したいと考えています。

メーカー各社を評価したところ、下の表のような結果になりました。

メーカー各社の評価表
価格 納期 保証力 実績
A社 3 4 4 2
B社 1 2 5 1
C社 4 3 1 3
D社 5 1 3 5
E社 2 5 2 4

「価格」を5、「納期」を4、「保証力」を4、「実績」を3で重み付けをして総合評価をしたとき、発注先に選ばれるメーカーはどこですか。

スコアシートの総合評価を行う問題です。

評価項目に対して重み付けをして総合評価を行うことは、いくつかの事象から最適なものを選ぶ際によく用いられる手法です。今回は「価格」を5、「納期」を4、「保証力」を4、「実績」を3で重み付けを行うので、候補に挙がったメーカーの総合評価は以下のとおりです。

A社:3×5+4×4+4×4+2×3=53点

B社:1×5+2×4+5×4+1×3=36点

C社:4×5+3×4+1×4+3×3=45点

D社:5×5+1×4+3×4+5×3=56点

E社:2×5+5×4+2×4+4×3=50点

D社の56点が最高得点なので、正解は④。

3級・予測力さまざまなデータをもとに未来を予測する力

Z市にあるP社に勤めるA氏は,Y市にあるQ社へ出張することになりました。

P社から最寄りのZ駅までは徒歩で12分かかり,Z駅からY駅へ行く電車は毎時10分,30分,50分に発車しています。

Z駅からY駅までは電車で1時間10分,Y駅からQ社までは徒歩で5分かかります。

P社を13時に出発したとき、Q社に到着する時刻は何時何分ですか。

交通機関を使って移動したときの到着時刻を予測する問題です。

A氏がP社を出発する時刻が13時、Z駅まで徒歩で12分かかるので、Z駅に到着する時刻は13時12分。

Y駅へ行く電車は毎時10分、30分、50分にZ駅を発車するので、A氏が乗るのはZ駅を13時30分に発車する電車となります。

Z駅からY駅まで電車で1時間10分かかるので、Y駅に到着する時刻は14時40分、Y駅からQ社まで徒歩で5分かかるので、Q社の到着時刻は14時45分となるので、正解は③。

解説画像

3級・表現力情報をわかりやすく正確に伝える力

下の表は、国内の二輪車・バイクの売上高シェアを表しています。

国内メーカーの二輪車・バイクの売上高シェア
A社 B社 C社 D社
46.8 33.5 10.8 8.9

単位:%

二輪車・バイクの売上高シェアを正しく表している円グラフはどれですか。

  1. A社の割合が半円を大きく上回って占める円グラフ
  2. A社の割合が半円をわずかに上回って占める円グラフ
  3. A社の割合が半円をわずかに下回り、B社の割合が全体の4分の1程度を占める円グラフ
  4. A社の割合が半円をわずかに下回り、B社の割合が全体の3分の1程度を占める円グラフ
  5. A社の割合が半円を大きく下回って占める円グラフ

データを正しく円グラフで表現する問題です。

円グラフは全体を100%とし、おうぎ形の中心角で全体に対する割合を表します。表から、A社の売上高シェアは46.8%なので、A社の売上高シェアを表すグラフは中心角が半円(50%相当)よりもやや小さいおうぎ形となります。また、C社の売上高は10.8%、D社の売上高は8.9%なので、この2社の円グラフはほぼ同じ形のおうぎ形になります。

以上より、正解は④。

2級

2級・把握力物事の状況や特徴をつかむ力

ある金融サービス業の顧客における取引傾向を調べたところ、次のような結果が得られました。

  • 株式の信用取引を行っている顧客は、株式の現物取引と外国為替取引を行っている。
  • 株式の現物取引を行っている顧客は、投資信託も購入している。
  • 国債を購入している顧客は、投資信託も購入している。

この結果からわかることとして、正しいものはどれですか。

  • (1)株式の信用取引を行っている顧客は国債も購入している。
  • (2)外国為替取引を行っている顧客は、株式の現物取引も行っている。
  • (3)国債を購入している顧客は外国為替取引も行っている。
  • (4)投資信託を購入している顧客は、株式の現物取引も行っている。
  • (5)株式の信用取引を行っている顧客は、投資信託を購入している。

事象の関係性を論理的に(ロジカルに)把握できるかどうかを測る問題です。

「顧客の要望を正しく理解すること」、「取引先に要求を正しく伝えること」は、ビジネスの基本スキルと言えるでしょう。事象の関係性を正しく把握できないと、どんなに計算力が高くても正しい答えを導き出せません。

解説画像

この図では、矢印の始点から終点までの関係性は「真」であることを示しています。矢印を逆にたどる関係性は必ずしも「真」とはいえないことに注意しましょう。図から信用取引を行っている顧客は株式の現物取引を行っており、株式の現物取引を行っている顧客は投資信託を購入していることがわかるので、「信用取引を行っている顧客は投資信託を購入している」と言えます。

よって、正解は⑤。

2級・分析力規則性や変化、相関などを見抜く力

テストマーケティングをするために、ある人気のTシャツを仕入れて1か月間だけ移動店舗で販売することにしました。Tシャツは1枚600円で仕入れて、2,400円で販売します。移動店舗の運営費用は諸費用込みで1か月あたり30万円です。Tシャツは10枚単位で仕入れるとします。

このとき、テストマーケティングの収支を黒字にするには、1か月あたり最低何枚のTシャツを販売する必要がありますか。

売上と利益のシミュレーションを行う問題です。

この問題では「10枚ずつ仕入れる」という条件を考慮した上で黒字を確保するシミュレーションを行う必要があります。

Tシャツを1枚600円で仕入れて2,400円で販売するのだから、Tシャツを1枚売るごとに得られる利益は1,800円。利益が移動店舗の運営費用(30万円)を上回れば「黒字」となるので、 300,000÷1,800=166.66…

上の式より、黒字にするためには最低167枚販売する必要があります。

ただし、今回は「Tシャツを10枚ずつ仕入れる」という条件があるので、167枚のTシャツを販売するには170枚のTシャツを仕入れる必要があるので、仕入れにかかる費用は 600×170=102,000円

運営費用は30万円なので、1か月あたりにかかる費用は402,000円。この金額を売り上げが上回れば「黒字」になるので、 402,000÷2,400=167.5

となるので、黒字にするために必要なTシャツの販売数は168枚となるので、正解は④。

2級・選択力いくつかの選択肢から最適なものを選ぶ力

ある商社では5つのプロジェクトS、T、U、V、Wを行うのか、やめるのかを検討しています。各プロジェクトの成功時の利益と失敗時の損失、各プロジェクトが成功する確率を以下の表に示します。

成功確率(%) 成功時の利益(万円) 失敗時の損失(万円)
プロジェクトS 50 3,000 1,500
プロジェクトT 60 2,000 1,000
プロジェクトU 70 1,000 200
プロジェクトV 80 1,600 1,000
プロジェクトW 90 800 300

経営陣からは、「期待利得(利益の期待値-損失の期待値)が850万円以上となるプロジェクトのみ進行させてもよい」という指示が出されました。5つのプロジェクトのうち進行させることができるプロジェクトはいくつありますか。

確率と期待値にもとづいた選択を行う問題です。

期待値とは確率に確率変数をかけた値の総和です。この問題の場合、確率変数は「成功時の利益」と「失敗時の損失」であり、期待値を計算することでプロジェクトがいくらの利益を生むのかの見込み金額を求めることができます。

それぞれのプロジェクトの期待値は次の通りです。

プロジェクトS:3,000万円×0.5-1,500万円×0.5=750万円

プロジェクトT:2,000万円×0.6-1,000万円×0.4=800万円

プロジェクトU:1,000万円×0.7-200万円×0.3=640万円

プロジェクトV:1,600万円×0.8-1,000万円×0.2=1,080万円

プロジェクトW: 800万円×0.9-300万円×0.1=690万円

以上より、期待利益が850万円以上となるプロジェクトはプロジェクトVだけなので、正解は①。

2級・予測力さまざまなデータをもとに未来を予測する力

N動物園とH動物園の2010年の入園者数と過去5年間の入園者数の平均成長率は以下の表のとおりです。

N動物園 H動物園
2010年の入園者数 118万人 125万人
過去5年間の平均成長率 2.5% 0.9%

今後、どちらの動物園の入園者数も平均成長率で成長を続けるとするならば、N動物園の入園者数がH動物園の入園者数を上回るのは何年と予測されますか。

平均成長率を用いて将来の入園者数を予測する問題です。

N動物園の2010年の入園者数は118万人、平均成長率は2.5%なので、n年後の入園者数は 118万×(1+0.025)nと、表されます。

同様にH動物園の2010年の入園者数は125万人、平均成長率は0.9%なので、n年後の入園者数は 125万×(1+0.009)nと、表されます。

以上より、2011年以降の両動物園の入園者数は下の表のように推移すると予測されます。

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
N動物園の入園者数 120.95 123.97 127.07 130.25 133.51 136.84
H動物園の入園者数 126.13 127.26 128.41 129.56 130.73 131.90

よって、2014年にN動物園とH動物園の入園者数は逆転すると予測されるので、正解は②。

2級・表現力情報をわかりやすく正確に伝える力

適切な摂取バランスを表現したPFCチャートの図。たんぱく質、脂質、炭水化物の数値を頂点に取る正三角形の頂点が正円に接している。

食品メーカーの研究部門に勤務するJ氏は、自社の製品Gについて三大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)の成分分析をしたところ、1個あたりのエネルギーは341kcal、タンパク質は14.8g、脂質は16.3g、炭水化物は33.7gでした。

三大栄養素の適切な摂取バランスは、総エネルギーに対して、タンパク質12.5%、脂質25.0%、炭水化物62.5%だと言われており、PFCチャートと呼ばれる図で表すと右の図のようになります。

三大栄養素それぞれの持つエネルギーは、タンパク質1gあたり4kcal、脂質1gあたり9kcal、炭水化物1gあたり4kcalとすると、製品GのPFCチャートはどのように表されますか。

  1. たんぱく質と脂質と炭水化物が、適切な摂取バランスにちょうど一致するPFCチャート
  2. たんぱく質と脂質が適切な摂取バランスを上回り、炭水化物が適切な摂取バランスを下回るPFCチャート
  3. たんぱく質と炭水化物が適切な摂取バランスを上回り、脂質が適切な摂取バランスを下回るPFCチャート
  4. 脂質と炭水化物が適切な摂取バランスを上回り、たんぱく質が適切な摂取バランスを下回るPFCチャート
  5. たんぱく質と脂質と炭水化物が、適切な摂取バランスを全て上回るPFCチャート

評価方法を理解した上で、適切な表現を行う問題です。

PFCチャートは「総エネルギーに対する、三大栄養素の占める割合」を三角形のグラフで表したものなので、製品Gに含まれる三大栄養素のそれぞれが持つエネルギーを計算すると、

タンパク質:14.8×4=59.2 kcal

脂質:16.3×9=146.7 kcal

炭水化物:33.7×4=134.8 kcal

製品Gに含まれるエネルギーの総量は341kcalなので、三大栄養素それぞれが持つエネルギーが製品Gのエネルギーに占める割合(%)は、

タンパク質:59.2÷341×100≒17.4%

脂質:146.7÷341×100≒43.0%

炭水化物:134.8÷341×100≒39.5%

適切なバランスはタンパク質12.5%、脂質25.0%、炭水化物62.5%なので、製品Gに含まれる三大栄養素はタンパク質と脂肪が適切な値よりも高く、炭水化物が適切な値よりも低いことがわかります。よって、グラフはたんぱく質と脂質が赤丸よりも外側の点、炭水化物は赤丸より内側の点となるので、正解は②。

1級

1級・把握力物事の状況や特徴をつかむ力

小売店の店長であるG氏は気温と商品Aの販売個数の関係を調査しました。調査は毎月5日、15日、25日に行い、その日の気温と商品Aの売上高を下の表にまとめました。

月/日 気温
(℃)
販売
個数(個)
1/5 8.3 325
1/15 6.5 282
1/25 3.2 202
2/5 2.1 159
2/15 6.5 255
2/25 7.8 355
3/5 9.9 499
3/15 12.5 601
3/25 13.4 595
4/5 9.8 535
4/15 14.1 625
4/25 15.5 634
月/日 気温
(℃)
販売
個数(個)
5/5 13.2 611
5/15 19.8 705
5/25 21.3 711
6/5 22.5 708
6/15 21.9 689
6/25 26.4 757
7/5 28.2 853
7/15 26.1 850
7/25 30 1115
8/5 30.8 1254
8/15 31.2 1308
8/25 28.7 1098
月/日 気温
(℃)
販売
個数(個)
9/5 27.3 999
9/15 26.2 975
9/25 25.3 796
10/5 22.1 747
10/15 20.9 708
10/25 21.5 688
11/5 18.9 679
11/15 15.5 608
11/25 15.9 590
12/5 12.2 535
12/15 13.1 431
12/25 10 380

気温と商品Aの間に見られる関係として正しいものはどれですか。

2組のデータの相関関係を把握する問題です。

\begin{align} (x,y) = \{(x^i,y^i)\} \qquad (i = 1,2,3\ldots) \end{align}

上記2組のデータ列の相関関係の強さを表す相関係数は下の式で求めることができます。

相関係数=
\begin{align} \frac {\sum_{i=2}^n(x_i-\overline{x})(y_i-\overline{y})} {\sqrt{\sum_{i=2}^n(x_i-\overline{x})^2} \sqrt{\sum_{i=2}^n(y_i-\overline{y})^2}} \end{align}

気温と販売個数のデータをあてはめて計算すると、相関係数は0.947と求まるので、正解は⑤。実際の計算は表計算ソフトなどを用いて行います。

1級・分析力規則性や変化、相関などを見抜く力

割引率を5%としたとき、1年後から5年後に受け取ることができる100万円の現在価値を正しく表しているのはどれですか。

1年後の100万円 2年後の100万円 3年後の100万円 4年後の100万円 5年後の100万円
950,000 900,000 850,000 800,000 750,000
950,000 902,500 857,375 814,506 773,781
952,381 907,029 863,838 822,702 783,526
1,050,000 1,100,000 1,150,000 1,200,000 1,250,000
1,050,000 1,102,500 1,157,625 1,215,506 1,276,282

未来のお金の現在価値を計算する問題です。

お金は運用すれば利子を生んで自己増殖します。また、インフレなどの社会的要因によってもその価値が変動するので、今得られる100万円と未来に得られる100万円は同じ価値であるとは限りません。よって、未来のお金の価値を考えるときには、現在のお金の価値に換算して考える必要があります。

割引率とは未来のお金の価値を現在のお金の価値に換算するための利回りです。たとえば、現在の100万円を5%の利回りで運用すれば1年後には105万円、2年後には110.25万円になるので、

現在の100万円=1年後の105万円=2年後の110.25万円

という関係が成り立ちます。よって、現在の100万円の \( n \) 年後の価値を考えると、

現在の100万円 = \( n \) 年後の \( 100\cdot(1+0.05)^n \) 万円

となります。

この式の両辺を \( (1+0.05)^n \) で割ると、

現在の \(\frac{1,000,000}{(1+0.05)^n}\) = \(n\) 年後の100万円

となるので、1年後~5年後の100万円を現在の価値に換算すると、下の表のようになります。

1年後の100万円 2年後の100万円 3年後の100万円 4年後の100万円 5年後の100万円
現在価値への換算式 \begin{align} \frac{1,000,000}{(1+0.05)} \end{align} \begin{align} \frac{1,000,000}{(1+0.05)^2} \end{align} \begin{align} \frac{1,000,000}{(1+0.05)^3} \end{align} \begin{align} \frac{1,000,000}{(1+0.05)^4} \end{align} \begin{align} \frac{1,000,000}{(1+0.05)^5} \end{align}
現在価値 952,381 907,029 863,838 822,702 783,526

以上より、正解は③。

1級・選択力いくつかの選択肢から最適なものを選ぶ力

ある商社では、プロジェクトAとプロジェクトBのどちらに投資するのかの選択を迫られています。下図はデシジョンツリーです。( )内の金額は投資額、分岐の末端の数字は得られる利益を表しています。

デシジョンツリーの画像

プロジェクトAへの投資Aと、プロジェクトBへの投資Bのどちらが最適ですか。また、そのときの期待利得(億円)はいくらですか。

デシジョンツリーを用いた意思決定の問題です。

デシジョンツリーを用いて意思決定を行うときは、ツリーの末端から根元に向かって計算や選択を行います。問題のデシジョンツリーにおいて、期待値や選択肢の判断を赤字で書き込んだものが下の図です。

解説画像

以上より、投資Aの投資効果は75.6億円、投資Bの投資効果は70億円であることがわかるので、正解は②。

デシジョンツリーは複雑な意思決定を行うときに有効な手段ですが、確率や最終利益は市場環境に大きく左右されるため正確に見積もることは難しいと考えられています。

1級・予測力さまざまなデータをもとに未来を予測する力

あるメーカーが3年前に発売した製品Zの四半期別の売上高は下表のとおりでした。市場における製品Zの評価を調査したところ、製品Zの売上高は、今後2年間は同じペースでの伸びが期待できることがわかりました。

製品Zの売上高(単位:万円)
第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期
2008年 245 280 311 320
2009年 365 353 431 444
2010年 497 527 525 592

2008年~2010年までの12四半期分のデータをもとに、回帰分析(最小二乗法)を用いてデータを一次関数の近似式で表し、製品Zの2011年の売上高を予測してください。

過去の売上データから最小二乗法によって将来の売上高の変化を予測する問題です。

一次関数の近似式は \( y = ax + b \) の形で表され、2008年の第1四半期を \( x_1 \) 、第2四半期を \( x_2 \) 、第3四半期を \( x_3 \cdots \) とし、それぞれの四半期における製品Zの売上高を \( y_1,y_2,y_3 \cdots \) とすると、近似式の \( a,b \) の値はそれぞれ、

\begin{align} a &= \end{align}
\begin{align} \frac {n\sum_{k=1}^nx_ky_k-\sum_{k=1}^nx_k\sum_{k=1}^ny_k}{n\sum_{k=1}^nx_k^2-(\sum_{k=1}^nx_k)^2} \\ \end{align}
\begin{align} b &= \end{align}
\begin{align} \frac {n\sum_{k=1}^nx_k^2\sum_{k=1}^ny_k-\sum_{k=1}^nx_ky_k\sum_{k=1}^nx_k}{n\sum_{k=1}^nx_k^2-(\sum_{k=1}^nx_k)^2} \end{align}

と表されます。

この関係式から \( a,b \) の値を表計算ソフトを使って求めると近似式は \begin{align} y = 30.5385_x + 209 \end{align} と求まるので、この近似式を用いて2011年の第1四半期( \( x = 13 \) )から第4四半期( \( x = 16 \) )の予想売上高を計算すると、2011年の売上高は2,607万円と求まります。よって、正解は①。

1級・表現力情報をわかりやすく正確に伝える力

下の表はある小売店Sの過去2年間の月間売上高を表しています。

小売店Sの月間売上高(単位:万円)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2009年 505 523 544 490 485 521 580 555 541 523 505 498
2010年 500 502 555 490 495 501 498 551 539 534 512 514

小売店Sの売上高を箱ひげ図を用いて表してください。

箱ひげ図

データの分布を箱ひげ図で表現する問題です。

箱ひげ図は長方形の箱とその両端から伸びるひげを用いて、データの分布やばらつきをわかりやすく表すための統計学的グラフです。

表のデータから、最小値、第1四分点、中央値、第3四分点、最大値を求めると

最小値:485 第1四分点:500 中央値:513 第3四分点:540 最大値:580

となるので、正解は④。

公式テキスト・参考書籍

ビジネス数学検定の公式テキストと参考書籍などをご紹介いたします。

<実践> ビジネス数学検定3級

「ビジネス数学検定3級」の合格レベルに達するためのテキスト。

数学が苦手な人でも、本書に記された「考え方」や「解説」を読むことで、ビジネス数学力の基礎となる思考プロセスを身につけることができる。

発売
株式会社日経BPマーケティング
発行
株式会社日経BP
著者
公益財団法人 日本数学検定協会
サイズ
A5判、192ページ

書籍に関するお詫びと訂正

<実践> ビジネス数学検定2級

「ビジネス数学検定2級」の合格レベルに達するためのテキスト。

ビジネスの現場で用いられている数字の取り扱いについて、実際の場面に即した問題を通じて学ぶ。リーダークラスのビジネスパーソンに必要な思考プロセスを身につけることができる。

発売
株式会社日経BPマーケティング
発行
株式会社日経BP
著者
公益財団法人 日本数学検定協会
サイズ
A5判、200ページ

書籍に関するお詫びと訂正

データサイエンス数学ストラテジスト[中級]公式テキスト

本書は、「データサイエンス数学ストラテジスト」中級の公式テキストです。AI、データサイエンスに関連する数学および活用法を体系的に学ぶことができます。

発売
株式会社日経BPマーケティング
発行
株式会社日経BP
著者
公益財団法人 日本数学検定協会
サイズ
A5判、192ページ

データサイエンス数学ストラテジスト[中級]公式問題集

本書は、「データサイエンス数学ストラテジスト」中級の公式問題集です。掲載している問題数は60問で、それぞれの問題を解くための考え方をていねいに解説しています。

発売
株式会社日経BPマーケティング
発行
株式会社日経BP
著者
公益財団法人 日本数学検定協会
サイズ
A5判、144ページ

書籍に関するお詫びと訂正

データサイエンス数学ストラテジスト [上級] 公式問題集

本書は、「データサイエンス数学ストラテジスト」上級の公式問題集です。掲載している問題数は80問で、それぞれの問題を解くための考え方をていねいに解説しています。

発売
株式会社日経BPマーケティング
発行
株式会社日経BP
著者
公益財団法人 日本数学検定協会
サイズ
A5判、192ページ

書籍に関するお詫びと訂正

ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全

本書は、数値データにもとづく「定量分析」、論理思考などのフレームワークによる「定性分析」の 両方を1冊にまとめた解説書です。

定量分析と定性分析の使い分け、組み合わせの効果や、 定性分析の思考法の使い分けや組み合わせによる『問題解決』手法も 豊富な事例と図解でくわしく説明しています。

ビジネス数学検定1級へ向けた学習書籍として最適です。

発行
日本実業出版社
著者
中村 力
サイズ
A5判、464ページ

データサイエンスが求める「新しい数学力」 AI、データ分析が壊す文系理系の壁

本書は、今回の学習指導要領の改訂(2016~2017年度)について、教育関係者が「戦後最大の改革が行われようとしている」と口にするほど激変している教育現場の今を見つめて、これからのあり方を模索しています。知者として知られる作家・佐藤優氏へのインタビューも掲載した教育ルポです。

発行
日本実業出版社
著者
宮本 さおり
協力
中村 力
サイズ
四六判、264ページ

「データセンス」の磨き方:一瞬で数字を読む力をつける

データセンスとは、ビジネスシーンや日常の中で目にする数字の意味をパッと把握する感覚のことをいいます。

本書は具体的な演習も多く、社会人なら誰もが必要としているその感覚を身につけ、磨くことのできる一冊です。

発行
ベレ出版
著者
堀口 智之
サイズ
四六判、231ページ

数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。

ビジネスでよくあるシチュエーションにおける数字の見方・使い方について、会話形式でわかりやすく解説します。

「ビジネス数学」の読みものとして最適です。

発行
日本実業出版社
著者
深沢 真太郎
サイズ
A5判、253ページ

数学女子 智香が教える こうやって数字を使えば、仕事はもっとうまくいきます。

数学女子ふたたび!ライバル会社の出店で大ピンチ。すぐに成果を上げるために智香が使った数字とは!?

売り上げだけ見て、満足していませんか?

明日から使えて、実務に役立つデータの生かし方がわかる!

発行
日本実業出版社
著者
深沢 真太郎
サイズ
A5判、248ページ

小学生の算数だけで社長の仕事がスッと分かる!

小学校で習う四則演算だけで会社の数字を把握する。仕事で使う数字の本質を誰にでもわかるようにやさしく解説。

「ビジネス数学」を学ぶ第一歩としての入門書。

発行
フォレスト出版
著者
並木 将央
サイズ
A5判、136ページ

e-ラーニング

株式会社すららネット

ビジネス数学検定にチャレンジするための「仕事に役立つ数学基礎コース」として3つの学習コースを提供しています。
チェックテストを受験後、ご自身にあったコースで、基礎となる数学力そのものを習得し、「修了テスト」で定着度を把握します。理解が不足している箇所は、テストの結果によって自動診断され、効率的な復習も可能になっています。

仕事に役立つ数学基礎コースのスクリーン画像
コース 仕事に役立つ
算数基礎コース
仕事に役立つ
数学基礎コース
仕事に役立つ
データ分析基礎コース
価格 月額:約1,660円
(年間:19,920円)
月額:約2,080円
(年間:24,960円)
月額:約2,500円
(年間:30,000円)

※すべて税抜価格

elearning.co.jp

eラーニング専門企業(株)キバンインターナショナルが運営している「eラーニングポータルサイトelearning.co.jp」のe-ラーニング講座です。「ビジネス数学入門」など5つの講座をご受講になれます。

ビジネス数学入門

数字に対して苦手意識のある方におすすめ

ビジネス数学力を構成する5つの力「把握力」「分析力」「選択力」「予測力」「表現力」のそれぞれについて4テーマずつ、合計20テーマについてビジネスのシチュエーションにあわせた例題&実践演習を通じて学習します。

お申し込み・詳細

難しい数学を勉強するのではなく、仕事の現場で出てくる数字についての考え方をお伝えしますので、仕事の数字に対して苦手意識のある方にこそ受講していただきたい講座です。 本講座をひととおり終了したら、自身のスキルレベルを把握するためにも、ぜひ、「ビジネス数学検定3級」を受検してみましょう。なお、ビジネス数学検定3級に合格することは、あくまでもスキルアップの1つのステップにすぎません。身につけたビジネス数学力を、実際のビジネスの現場で生かせるようにすることが、みなさんの最終ゴールです。

「できる」ビジネスパーソンをめざし、早速、ビジネス数学力を高める一歩を踏み出しましょう。

受講対象
  • 数字に対して苦手意識のある方
  • 新入社員、および入社3年め程度の若手社員
  • 大学生、短大生、専門学校生、高校生
  • 数学的な考え方の使いどころを知りたい方
  • ビジネス数学検定3級の受検を考えている方
講師

近藤 恵介(公益財団法人 日本数学検定協会)

深沢 真太郎(ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント)

受講料

3,300円(税込)

講座収録時間

約330分

受講可能期間

365日間

ビジネス数学中級

管理職になられる方におすすめ

ビジネスを円滑に進めるためには数字の取り扱い能力は必須です。本講座では、ビジネス数学力を構成する5つの力「把握力」「分析力」「選択力」「予測力」「表現力」の向上をめざします。

お申し込み・詳細

[1] リーダークラスに求められる数的センスの向上

チームをまとめるリーダーや管理職には高い精度でビジネスを組み立てる力が求められます。また、チームをスムーズに動かすには数的な根拠に基づく説得力のある説明が求められます。その際に必要とされる根拠となる数字の見つけ方、扱い方、見せ方などのスキルを向上させます。また、統計データの見方の基本についても解説します。

[2] じっくりと数字を使う数的思考力の向上

数字を使って分析する目的は「よりよい意思決定を行うこと」です。たとえどんな高度な手法を用いて分析を行っても、得られた結果が意思決定につながらなければ価値はありません。価値ある意思決定を行うためには「何のためにその分析を行うのか?」「その分析によって何がわかるのか?」を意識できていることが大切なのです。適切に数字を活用するには「どの場面でどの分析手法を用いればよいのか?」を判断できる能力が必要で、本講座ではビジネスシーンに合わせた課題を用いてスキルアップを図ります。 本講座をひと通り終了したら、自身のスキルレベルを把握するためにも、是非、「ビジネス数学検定2級」を受検してみましょう。 なお、ビジネス数学検定2級に合格することはゴールではなく、あくまでもスキルアップの一つのステップにすぎません。身につけたビジネス数学力を、実際のビジネスの現場で生かせるようにすることが、みなさんの最終ゴールです。

受講対象
  • 管理職の方、または、これから管理職になられる方
  • 入社5~8年め程度の中堅社員
  • 数字を根拠にした意思決定の手法を身につけたい方
  • 数学的な考え方の使いどころを知りたい方
  • ビジネス数学検定2級の受検を考えている方
講師

近藤 恵介(公益財団法人 日本数学検定協会)

受講料

3,300円(税込)

講座収録時間

約330分

受講可能期間

365日間

レベル0から1にするMicrosoft Excel® 関数10選

Excel® 関数を使ったことがない方におすすめ

本講座は、ビジネスでよく使う関数を10種類に厳選し、すぐに活用できるようにわかりやすくまとめています。 関数を何から始めていいのかわからない方にもおすすめです。

お申し込み・詳細

[1] ビジネスシーンでなぜMicrosoft Excel® の関数が必要か?

ビジネスで使う数字は、それだけではただ数字が並んでいるだけにすぎません。数字をもとにして、いかにビジネス上の意思決定に活用できる「情報」にするかが重要なのです。この「数字を情報に加工する」には、Microsoft Excel® の関数を利用することが必要不可欠です。

たとえば1万件のデータを合計したいとき、電卓で計算したのでは終わりが見えません。しかし、Microsoft Excel® の関数を使えばわずか数秒で合計を出すことができます。また条件式を活用することで、場合分けをふまえた計算結果を出すこともできるので、あなたのビジネスの効率を飛躍的に向上させることができるのです。

[2] 関数は何から始めればよいか?

Microsoft Excel® に登録されている関数は300種類以上もあります。Microsoft Excel® を解説する書籍は細かいところまで詳しく書いてありますが、実務レベルでどの関数を良く使うのか、どの関数がビジネスの効率化に重要なのかを、つかみづらい構成となっているものが多いようです。本講座は「ビジネスシーンでよく使う関数」を10種類に厳選していますので、まずはここで紹介する関数を使えるようになってください。

[3] 本講座を受けるコツ

Microsoft Excel® の関数はビジネスで日常的に使えるようにならなければ意味がありません。本講座を受けながら、今、自分がかかえているビジネスにどのように生かせるのかを常に考えてください。そうすることで、Microsoft Excel® の関数の理解が深まり、実践的に使えるようになります。

※MicrosoftおよびExcelは、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。また、 本講座は、独立のe-ラーニング講座であり、マイクロソフト コーポレーションと提携しているものではなく、また、マイクロソフト コーポレーションが許諾、後援、その他の承認をするものではありません。

受講対象
  • Microsoft Excel® 関数を使ったことがない方
  • 数字に関するスキルを向上させたい方
  • Microsoft Excel® を表入力にしか使ったことがない方
講師

尾髙 克幸(公益財団法人 日本数学検定協会)

受講料

2,200円(税込)

講座収録時間

約110分

受講可能期間

1年間

ビジネスで使える統計

仕事で統計データを活用したい方におすすめ

本コースは統計データを活用する手法や考え方を学び、実践演習をこなすことで、ビジネスの現場で統計データを効果的に活用できるビジネスパーソンをめざすことを目的としています。

お申し込み・詳細

[1] データを読む

統計データは眺めているだけでは単なる数字の羅列にすぎません。統計データをきちんと読み取るには「数値」と「ばらつき」の2つに着目し、「平均値」「中央値」「標準偏差」などの基本統計量を読み取る必要があるのです。

[2] 情報を伝える

情報統計データから得た情報はビジネスに活用できて初めて意味を持ちます。しかし、統計情報を数値のまま伝えても意図した内容が伝わらないことが多いです。情報を効果的に伝えるためには図表やグラフを適切に活用することが必須です。

[3] よく使う分析

統計データを正しく分析するには、知りたい内容に合わせて適切な分析手法を選ぶ必要があります。分析手法は数多く存在しますがデータ分析の専門家でもない限り、通常の業務で使用する分析手法はそれほど多くありません。

本コースでは通常の業務でもよく使われる分析手法である「相関」と「単回帰分析」の活用方法について学びます。

[4] 実践演習

[1]~[3]で身につけた知識・手法を、実際のビジネスデータに活用し、統計データを処理するポイントをつかみます。

受講対象
  • 仕事で統計データを活用したい方
  • Microsoft Excel ® を使って統計データを処理する基本を身につけたい方
  • 統計データを活用する場面のヒントが欲しい方
講師

近藤 恵介(公益財団法人 日本数学検定協会)

受講料

3,300円(税込)

講座収録時間

約210分

受講可能期間

365日間

お金と数学

お金に関する数学を学びたい方におすすめ

お金の有利な預け方や、リスクの把握の仕方などを中学生レベルの数学の知識で学びます。また金融分野での実用とされる知識である金融工学を学びたいと考えている方の初級入門講座としても活用いただけます。

お申し込み・詳細

受講対象
  • 数学が世の中でどのように役立っているのかを学びたい中学生・高校生
  • 数学の話題を探している教員・講師の方
  • お金に関する数学を学びたい方
  • 金融工学の初歩を学びたい方
講師

横田 雅之(数学コーチャープロA級)

受講料

1,100円(税込)

講座収録時間

約90分

受講可能期間

90日間

団体での学習

学校や企業に向けて、ビジネス数学、データサイエンス数学など、目的や技能に合わせてカリキュラム設計を行った講座・講習を行っています。
また、検定・資格試験の団体受検も受け付けています。
くわしくは、下記から日本数学検定協会公式法人サイトの「ソリューション」をご覧ください。