子どもたちを育てるためには、
教育の場と地域の連携が必要不可欠

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  • 一般社団法人 みたかSCサポートネット(東京都) 
    お話:代表理事 師橋千晴さま、担当理事 貝沼奈緒美さま

「みたかスクール・コミュニティSCサポートネット」のみなさま「みたかスクール・コミュニティSCサポートネット」のみなさま
「みたかSCサポートネット」のみなさま

「みたかスクール・コミュニティ・サポートネット」は、地域の人財や団体をつなぎ、子どもたちの「生きる力」の育成と、学校を核とした地域づくり=スクール・コミュニティの推進を目的に、2011年4月に設立されました。2017年7月に、「一般社団法人みたかSCサポートネット」として法人格を取得して以来、子どもの豊かな学びと育ちのために人と人をつなげ、学校と地域をつなぐ活動をおこなっています。そして、2019年・2020年に、文部科学省の委託事業である「地域とともにある学校づくり推進フォーラム」の開催における企画提案、運営、資料作成などを担当しています。

自己肯定感を高める数学検定・算数検定

数学検定・算数検定(以下、数検)を導入して11年めになりますが、検定の実施を通じて、子どもたちの成長を折に触れて実感します。
習熟度の確認や得手不得手の再発見はもちろんのこと、自己肯定感・自己有用感が高まっていることをたいへんうれしく感じながら、常に子どもたちが主役になれるようにコーディネートをしてきました。「がんばったらがんばったぶんできた!」という感動と喜びを分かち合うことで、自発的に挑戦することへの一助になっていると思います。

受検者数は年を重ねるごとに増加しており、2019年度は小学生・中学生あわせて150人近くの申し込みがありました。小学校入学前の新1年生に向けても、全体会で保護者に説明する機会があるので、家庭内でも「検定を受けてみよう!」と話があがるのだと伺います。地域内では各種検定の受検が恒例行事となっていて、意欲的に向き合ってくれる子が多くうれしい限りです。

しかしながら、今年2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、やむを得ず中学生のみの受検へと変更いたしました。高校受験を控えた中学生にとって必要なことだ、という中学校の依頼に応える形となりました。
例年は小学生だけで申し込み数が100人を超えているため、受検を楽しみにしていた児童からは、「今年は受けられなくて残念」という声が多く寄せられました。「ごめんね。来年はみんなで受けられたらいいね」と回答するたび、心苦しさを抱えています。

“がんばり”を認めてあげることの大切さ

“がんばり”を認めてあげることの大切さ普段の学習状況でもさまざまな気づきがありますが、とくに低学年の子どもたちはほめられた際に喜びを爆発させる姿が印象的です。プリント学習では、もう1枚!もう1枚!と、こちらが驚くほどの熱量で取り組んでくれます。子どもにとっては、小さいことでも自分のがんばりを認めてもらえることが、一番の励みになります。大きな成果がなくても、日々の声がけや評価が次につながって、成長の鍵を握る重要な思い出として蓄積されるのです。

数検においても、合格すると「次の級も受けるんだ」と毎年受検する子が多く、志願者の名簿には、同じ名前が階級を変えて並び続けます。小学校を卒業し、中学生になっても継続して受検をする子が大勢いることから、受検の機会を安定して提供できていることに大きな意義を感じています。

このような子どもたちはスモールステップで地道に合格を重ねて、それに比例して学力も向上している傾向にあり、合格証や個別成績票が1人ひとりに配付されることで一層の励みになっているようです。算数検定は、残念ながら不合格になった場合でも未来期待証があることで、次の合格につながる一歩になっていると感じています。

教育の場と地域の結びつきが、子どもたちを育んでいく

教育の場と地域の結びつきが、子どもたちを育んでいく教育の場と地域の結びつきが、子どもたちを育んでいく
団体受検の会場(左から、三鷹中央学園三鷹市立第三小学校、第七小学校、第四中学校)

学校にとっても、子どもたちが成果をあげ、達成感を得ることで、子どもたちを中心とした地域の取り組みにおいて、良い評価をいただけていると自負しています。

検定の実施は金銭の扱いも含まれますので、当法人が携わることで安心・スムーズな運営につながっています。また、慣れ親しんでいる教室・校舎を検定会場として活用できることは、地域と学校との信頼関係が強固であることの証明であり、保護者にも安心していただくことができます。このように、これまでも多くの活動をしてきましたが、さらなる発展として「人とのつながりを大切に」という活動の原点の重要性を再認識し、同じような目的意識をもった方を増やして強固なつながりを広げていくことが地域の貢献にも結びつくと考えています。

地域のみなさまにも学校のことをご理解いただき、あわせて学校側も地域の活動をしっかりと把握することで、生活基盤がより豊かになるような変化が生まれるのではないかと考えます。
10年の活動を経て、学校・地域・家庭の3者で子どもたちの育ちを推進することによって、各々の心のゆとり・学びのゆとりにつながって広がりが生まれることを強く感じています。

子どもたちの将来の基礎となる部分を培うことができるということを、たいへんうれしく感じ、子どもたち自身をとおして多くのことを学ばせてもらいました。
さらに多くの子どもや保護者、そして地域全体に笑顔が生まれることをこれからも楽しみにしています。